【フルモデルチェンジ級の大幅改良】新型スズキ・クロスビーに込められた開発者たちの思いを聞く!

公開 : 2025.10.02 11:05

スズキは小型SUV『クロスビー』に、フルモデルチェンジ級と思われるほどの大幅改良を施しました。そこでその目的や大きなポイントとなるデザインについて、各担当者に内田俊一が話を聞きました。

守るところと変えるところ

スズキは小型SUV『クロスビー』に、フルモデルチェンジ級と思われるほどの大幅改良を施した。そこでその目的や大きなポイントとなるデザインについて、各担当者に話を聞いた。

そもそもクロスビーはどういったところが評価されていたのだろう。開発責任者であるチーフエンジニアの飯田茂さんは、大きくふたつ挙げている。

右からスズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部チーフエンジニアの飯田茂さん、同四輪デザイン部エクステリア課主任の福島耕一郎さん、同四輪デザイン部四輪インテリアグループの中澤直人さん、同四輪デザイン部インテリア課の中西啓さん。
右からスズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部チーフエンジニアの飯田茂さん、同四輪デザイン部エクステリア課主任の福島耕一郎さん、同四輪デザイン部四輪インテリアグループの中澤直人さん、同四輪デザイン部インテリア課の中西啓さん。    内田俊一

「ひとつは個性的なデザインです。また、コンパクトSUVはリアシートのスライドやリクライニング機構がないことが多いのですが、クロスビーは両方できるので、この広さも最大の武器となります」

一方の弱みは、「安全や運転支援」と飯田さん。そして「大きなハスラーに見られていたこと」と述べ、それが今回の改良に繋がった。

そこで新型では、「ハスラーとしっかり差別化すること」が目指された。その背景にはスズキのSUVラインナップにフロンクスジムニーシエラ、同ノマドがある中でクロスビーは「可愛いく見えており、そこからは少し外れていたんです」。

これはユーザーからの声も大きかった。

「先代は女性オーナーも多かったので、そこで評価された可愛いというイメージは残しつつ、格好可愛いテイストを持たせるようにしました。そうすることで小型SUVとして、しっかりとショッピングリストに入っていくことを狙っています」

そのためにハスラーと共通だった「インテリアのカラーパネルをやめた一方、アイコニックな丸目は残しています」と飯田さん。「守るところと変えるところをはっきりさせて、小型車として質感を上げています」と語った。

直線的でボクシーに

つまり新型の大きな特徴は、デザインということがわかった。そこでまずはエクステリアデザインについて、エクステリアを担当した福島耕一郎さんに話を聞いてみよう。

その狙いは当然、「可愛いイメージから、格好良いスポーティという、よりSUV、クロスオーバーの方向にシフトしたデザインです」だという。先代クロスビーは「コロリンとしたアイコニックな形なんですが、それに対して力強さやタフさを表現しないといけない。そこでよりボクシーに見える、厚みを感じるといったところで格好良さを表現しています」と福島さん。

よりボクシーに見える、厚みを感じる格好良さを表現したというエクステリアデザイン。
よりボクシーに見える、厚みを感じる格好良さを表現したというエクステリアデザイン。    スズキ

「サイドビューでは先代が丸いシルエットで、前に向かって下がっていくのに対して、フロントフェンダーをストレートに水平に伸ばして、より直線的、ボクシーしています」

また、ヘッドランプも「わかりやすい丸モチーフにから頂部をカットして少し睨みをきかせるような、目力を力強く見せられるような処理をすることで格好良さを表現しています」と話す。

一方、可愛さの一例は「フロントのクロームの使い方」にあるという。「先代は横基調でしたが、今回はホットスタンプという技法を用いてドットパターンにすることで個性的に見えるように処理しています。そうすることで、可愛さ、アイキャッチに繋がれば」と説明した。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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