メルセデス・ベンツが開発した型破りなクルマ 30選(前編) 世界を変えた技術と挑戦

公開 : 2025.10.11 11:05

ポントン・メルセデス(1953年)

第二次世界大戦が終わって間もない頃のメルセデス車は、1930年代のモデルとほぼ同じ外観だった。しかし1953年、W120シリーズの導入により、イメージは大きく変わった。それまでのモデルにあったランニングボード(ステップ)は廃止され、フラットになったボディ側面の形状から「ポントン(あるいはポンツーン)」の愛称で呼ばれた。

1954年の180 Dはディーゼルエンジンを搭載していた。当時の量産車としては珍しいが、まったくの新技術というわけではない。ポントン以前の1936年発売の260 Dもディーゼルで、それ以前の商用車にも搭載されていた。ポントン・メルセデスは戦後の苦境から同社を成功へ導く重要なモデルとなった。

ポントン・メルセデス(1953年)
ポントン・メルセデス(1953年)

300 SL(1954年)

米国の輸入業者マックス・ホフマン(1904-1981)の提案で開発された300 SLは、一大センセーションを巻き起こした。その理由は主にクーペボディ、特にガルウィングドアにあったが、1952年にデビューしたW194レーサーとの機械的類似性による影響も大きい。

1957年になると、クーペボディからロードスターへと変更された。また、1955年から1963年にかけて、300 SLに似た外観を持つものの速度性能は劣る190 SLも販売されていた。

300 SL(1954年)
300 SL(1954年)

フィンテール(1959年)

W111は、後にメルセデスの定番となるデザインを初めて採用したモデルだ。目立つグリルを挟むように、背の高い垂直型ヘッドライトユニットを配置。リアには、短命に終わったテールフィンを採用した。当時の米国基準では極めて控えめなデザインだったが、欧州基準では目立つ存在だった。

初期のフィンテール車はすべて6気筒エンジンを搭載していたが、1961年には4気筒のW110シリーズにもフィンが採用された。1960年代後半には時代遅れに見えるようになり、1968年には完全に廃止された。

フィンテール(1959年)
フィンテール(1959年)

グロッサー・メルセデス600(1964年)

初代グロッサーから34年を経て登場した600は、メルセデスの量産車として初めてV8エンジンを採用したモデルだ。エアサスペンション、セントラルロック、電子制御式のヒーター・ベンチレーターなどが標準装備されており、現代では特別なものではないが、ビートルズがデビューしたばかりの時代としては驚異的な仕様だった。

1981年までに2677台が生産された。このうち429台がプルマン、59台がランドーレットだった。ランドーレットは希少な存在だが、さらに特別なのが、1965年にジョヴァンニ・モンティーニ(1897-1978、教皇パウロ6世)のために製作されたランドーレットで、屋根を高くするなど独自仕様となっていた。

グロッサー・メルセデス600(1964年)
グロッサー・メルセデス600(1964年)

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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