フェラーリ初EVは航続距離530kmの4ドアGT 快適性とスリル満点のハンドリング両立 本物の「エンジン音」も
公開 : 2025.10.10 06:45
驚異的なアクティブ・サスペンション
エレットリカはフェラーリのロードカーとして初めてリアに独立サブフレームを採用しているが、その理由の1つは乗り心地への徹底的なこだわりだ。この構造により、ロードノイズやパワートレインの振動をキャビンから効果的に遮断できる。
このサブフレームは、フェラーリがこれまでに製造した中で最大の単一中空鋳造部品であり、リアのeアクスル、アクティブ・サスペンション、4輪操舵システムを車体から「エラストマー」ブッシュを介して吊り下げている。このブッシュは、サブフレームなしのシャシーと同等の剛性を保ちつつ、騒音と不快な振動を最小限に抑えると言われている。

その働きを補完するのが、48Vセミアクティブ・サスペンション・システムだ。プロサングエに採用されたシステムをさらに進化させたもので、荷重や路面の変化に応じて上下運動するモーター駆動ダンパーを4輪に配置している。
サスペンションはセントラルコンピューターで制御され、シャシー全体の動的パラメーターを毎秒200回計測し、それに応じて調整する。例えば、タイトコーナーでは外側のダンパーを硬くして車体を水平に保ち、凹凸のある路面では各車輪を押し下げて接地を維持し、跳ね返りを抑える。
これにより、コイルスプリングは走行中は不要となり、停車時に車体が地面に接触しないよう支える役割のみを担う。そうでなければダンパー内のモーターを常時作動させておかねばならない。
高度なアクティブ・サスペンションに加え、4輪操舵(後輪の操舵角は最大2.15度)とフルトルクベクタリングを装備したエレットリカは、フェラーリ初の「あらゆる走行条件下で垂直方向・縦方向・横方向の力を制御する」モデルだと謡われている。
機械部品の振動を活用したサウンドトラック
フェラーリは、内燃機関スポーツカーに劣らぬ魅力を持たせるべく、走行中に心地よいサウンドを聴かせる革新的なハーモニクス・システムを開発した。
エンジン音を合成して車内に流したり、モーターのうなり音を人工的に強調したりするのではなく、まるでエレキギターのピックアップのように、機械部品の振動を拾い増幅する高精度センサーを採用した。

フェラーリによれば、このシステムは「ダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを反映した本物の音響体験」を提供するが、フィードバックや特定の身体感覚を高める「機能的に有用な」場合のみ作動するという。例えば、約110km/hでの高速道路巡航時には無音状態となる。
「電動フェラーリのサウンドは、まったくもってフェイクではありません」とフルジェンツィ氏は力を込めた。ドライビングの没入感を高める手段として、本物であることを重要したという。
また、『フェラーリ・オーダー・ノイズ・キャンセレーション(FONC)』という専用のシステムを搭載する。モーターから発生する高音域の甲高い音など「不要な高調波」を監視し、選択的に除去することで走行中の静粛性と洗練性を高める。
今後の展開は?
フェラーリは、エレットリカの生産台数を制限せず、価格によって供給量を決定する方針だ。価格は来年の完全発表時に明かされる。
「これは限定モデルではなく、ラインナップの1車種です」とヴィーニャ氏は述べている。

ヴィーニャ氏によると、このEVは主に新規顧客の獲得を狙っているが、フェラーリコレクターの中には「当社を深く信頼し」、「EVにおいても車両ダイナミクスによる独特の感動」を期待している人もいるという。
「複数のコレクターとも話をしましたが、伝えたいメッセージは明確です。このモデルがわたし達の想定通りの働きを見せれば、顧客にも受け入れていただけるはずです」
ヴィーニャ氏は、購入を検討する潜在顧客との「より本格的な話し合い」を2026年第1四半期に開始する予定だとしたが、受注開始や納車開始の具体的なスケジュールについては明言せず、最終発表は同年上半期に行われると述べるにとどめた。

































