技術で克服できないものはない!やっとわかったアウディらしさ【日本版編集長コラム#52】

公開 : 2025.10.19 12:05

ドライビングプレジャーの意味が違う

こうして多くのアウディに触れてみて思ったのは、ボディ形式やパワートレインが違っても基本的に『どれに乗っても同じ』ということだ。もちろん褒め言葉である。

これは哲学に相当の自信がないとできないことだし、経営側に意志の強さが求められる。もちろん、SQ5のパワートレインやスポーツバックのボディに揺らぎを感じなくもないが、全体に1本の芯は通っていると思う。

完全に身体に馴染んだ時に、アウディにはまる瞬間がありそうな気がする。
完全に身体に馴染んだ時に、アウディにはまる瞬間がありそうな気がする。    平井大介

恐らくアウディは、技術で説明できないことはないと思っているのだろう。極論すれば、スポーツカーですら楽しませるというよりも技術で性能を実現、克服したいだけなのかもしれない。

これは自分がイメージしているドイツらしさそのもので、当初、アウディを理解することができなかったのは、そもそも『ドライビングプレジャー』の考え方が自分の感覚と異なるからだった。

あくまで例えとして、筆者がずっと所有しているイタリア車が『五感で刺激を浴びたい』タイプのプレジャーなら、アウディは『五感を計算して不快に感じる部分を取り除く』ことで得られるプレジャーなのだ。

取り除くために用意されたすべての機能をこの短時間で理解するのは不可能で、正直、取材していてわかりにくい部分もあった。しかしそれはじっくりと時間をかけて理解すればいい話で、完全に身体に馴染んだ時に、アウディにはまる瞬間がありそうな気がする。

そしてそれこそが、アウディを好きになる瞬間なのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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