雨天は手に負えないジャジャ馬 ギルバーン・シボレーGT(1) 小さなボディが包んだV8エンジン ホイールはF1用

公開 : 2026.04.04 17:45

エンジンルームへ押し込まれたスモールブロック

ギルバーンの開発へ大きな影響を与えた、レーシングドライバーのピーター・コトレル氏は、公道モデルで競うレースで何度もウィルソンに勝利していた。自ら手を加えた、GT Mk1に乗って。そこで彼は、1964年11月にマシンの製作を依頼したのだった。

ウィルソンが希望したのは、シボレーの4.6Lスモールブロック・ユニットを、狭いエンジンルームへ押し込むこと。基本的には、新しいGT 1800がベースになった。自身で手配した部品をワークショップへ持ち込み、駆動系や冷却系は強化された。

ギルバーン・シボレーGT(1965年/ワンオフモデル)
ギルバーン・シボレーGT(1965年/ワンオフモデル)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

4速MTは、リスター・ジャガー用。ホイールとラジエターは、BRMのスペアパーツが用いられた。ギルバーン側は、完成後の注目度の高さを踏まえ、作業へ応じたようだ。

V8エンジンのシボレーGTが完成したのは、1965年3月。シャシー番号はB100182で、今と同じETX 450Cのナンバーで登録されている。

濡れた路面では手に負えないジャジャ馬

果たして、意気揚々とサーキットへ向かったウィルソンだが、初戦はシリンダーヘッドへ亀裂が入りオーバーヒート。以降のレースでは、当時としてはワイドな15インチ・タイヤを履いても、濡れた路面では手に負えないジャジャ馬っぷりも明らかになった。

目の敵だったコトレルの運転スキルを認めたウィルソンは、彼をドライバーとして登用。その後の3年間、ウィルソンはヒルクライムなどでシボレーGTを走らせ、サーキットではコトレルがステアリングを握り、ギルバーンの名声を高めた。

ギルバーン・シボレーGT(1965年/ワンオフモデル)
ギルバーン・シボレーGT(1965年/ワンオフモデル)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

レースの記録は、殆ど残っていない。ランドー・サーキットで開かれた1戦について、「恐ろしく速いレッドのギルバーン・シボレー」が圧倒的なリードを奪いつつ、スピンでリタイアしたと、オートスポーツ誌は報告している。その日の天気は、雨だった。

この続きは、ギルバーン・シボレーGT(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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