フェラーリ株価暴落前日、イタリア現地取材で思ったこと(前編) 初のBEVは理想的コンセプト【不定期連載:大谷達也のどこにも書いていない話 #4】

公開 : 2026.03.12 11:25

市場の動向を正しく反映

2022年に比べてBEVに対する目標を『後退』させたことは、自動車産業界に身を置く者であれば誰もが当然と受けとめることだろう。

グローバルなBEVの販売台数を見ると、2020年に200万台に達するまではジワジワとした伸びだったが、2021年には2倍以上の460万台に到達。2022年にも770万台を記録するなど、この2年間に限っていえば倍々ゲームで伸びていた(出典:evwire.com)。2022年にフェラーリが『2030年までにBEV:30%』と息込んだのも無理からぬ話だ。

プロサングエ譲りのアクティブサスペンションを採用。写真はジョン・エルカン会長。
プロサングエ譲りのアクティブサスペンションを採用。写真はジョン・エルカン会長。    フェラーリ

ところが2023年には1030万台と台数こそ増えたものの伸び率は鈍化。その傾向は、1083万台を記録した2024年により明確なものとなった。2025年キャピタル・マーケッツデイでフェラーリが発表した内容は、こうした市場の動向を正しく反映したものといえる。

もうひとつ、私が感心したことがあった。とある機関投資家が「スペシャルシリーズの構成比をもっと高めるべきではないか?」と質問したときのこと。これに、フェラーリの最高財務責任者であるアントニオ・ピッカ・ピッコンは以下のように答えたのである。

「ここ数年、スペシャルシリーズの構成比はほとんど変わっていないし、これから大幅に引き上げる考えもない。なぜなら、コレクターの手に渡るべきスペシャルシリーズは、生産台数もしくは生産期間が厳密に限定されていなければいけないからだ」

*フェラーリ株価暴落前日、イタリア現地取材で思ったこと(後編)に続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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