テールフィンは控えめに アメリカンな英国車たち(1) 豪華装備で訴えるフォード・ゾディアックとオースチンA105

公開 : 2026.04.19 17:45

ホワイトウォール・タイヤにツートーン塗装は標準

70年前にゾディアックへ関心を持っていた英国人は、オースチンA105 ウェストミンスターも候補にしていただろう。A90の進化版として、1956年に登場。車高の低いサスペンションと、ツインSUキャブレターを載せた2.6L直6エンジンが採用されていた。

このエンジンは、後にオースチン・ヒーレー100/6にも搭載されるが、A105もスポーツサルーンが目指されていた。実際、1958年の英国サルーンカー選手権で優勝している。

オースチンA105 ウェストミンスター(1956~1959年/英国仕様)
オースチンA105 ウェストミンスター(1956~1959年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

快適性や特別感を求めるドライバーを、オースチンは豪華装備で満たした。コラムシフトの4速MTにはオーバードライブが備わり、サイドミラーは標準。フォグランプにホワイトウォール・タイヤ、ツートーン塗装、メッキトリムなども追加費用なしだった。

ボンネットの先端には、「フライングA」のマスコット。優雅なフォルムだが、ドアは1.5Lエンジンの格下、A50と共有していた。ボンネットは長いが、キャビンは短い。

英国の自動差産業の優位性を復活?

オースチンは、発売直後の1956年後半にA105をフェイスリフトしている。フレッド・オールドハム氏が所有する、同年前半の初期型、通称「エフィー」は非常に珍しい。

「買ったのは2015年ですが、自分が2番目のオーナー。クラッチは固着し、ブレーキや燃料ポンプも駄目でした。でも車内には、スペアパーツが山ほど」。と振り返る。

オースチンA105 ウェストミンスター(1956~1959年/英国仕様)
オースチンA105 ウェストミンスター(1956~1959年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

エンジンは、A105の後継モデル、1959年に発売されたA110用2912cc直6へ置換されている。「このエンジンのお陰でパワフルです。どこを走っても称えてもらえますよ」。オースチンというブランド名を、知らない若者も最近は多いそうだが。

鮮やかな配色のベンチシートにクロームトリムで、インテリアも華やか。新聞のテレグラフ紙は、「英国の自動差産業の優位性を復活させるうえで、重要な役割を果たす」と1956年に評価したが、その後の歴史は少々違った。

この続きは、アメリカンな英国車たち(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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