ワンガンブルーの日産フェアレディZに乗りたくて【日本版編集長コラム#80】

公開 : 2026.05.03 12:05

4000rpmくらいからの吹け上がりとサウンド

実車に乗りはじめて思ったのは、ノーズが外から見て感じたほど長くないことと、サイドミラーから見えるリアフェンダーが結構グラマラスであることだ。そこには記号性だけではない、機能性やデザイン性も感じられる。

夕方ということもあり早々に渋滞にはまり、マニュアルを借りたことを少し後悔した。ストロークがもっと短くでもいいのになぁと、段々シフトをするのが面倒になってきたほど。

3LのV型6気筒DOHCツインターボ『VR30DDTT』。スペックは405ps/475Nmとなる。
3LのV型6気筒DOHCツインターボ『VR30DDTT』。スペックは405ps/475Nmとなる。    平井大介

そこで室内を眺めていて気になったのは、センターコンソールとドアパネルに使われている青いレザーの色合いが微妙に異なることだ。675万9500円もするクルマなのだから……とネガティブに思ってしまったのは、きっと長く続いた渋滞のせいである。

渋滞を抜け、西に向かって高速道路を流していて感じたのは、良くも悪くもクルマが緩いこと。肩の力が抜けているとも、クルマの緊張感が足りないとも書けるが、キツイのが欲しい人はニスモをどうぞ、ということなのだろう。

しかし自分でシフトして走るのは実に気持ちよく、都心を離れるにつれ、ネガティブな感情が少しずつ薄れていくのを感じた。

VR30DDTTの美味しいところは、4000rpmくらいからの吹け上がりとサウンドだ。街中、高速道路、ワインディングといろいろ走ってみて、その領域を使える場面をついつい探してしまった。なお、コーナリングが思いのほか気持ちよかったことは強調しておきたい。

そんな様々な場面で伝わってきたのは、スポーツカーとGTカーの中間にある絶妙なバランスだった。これこそ、歴代フェアレディZが有してきたポジショニングそのものだ。

いい意味でバタ臭い雰囲気

実は偶然にも車両引き取りの際、日産自動車本社1階のショールームで歴代モデルを展示していた。

それは『1968年ダットサン2000スポーツ(SRL311型)』、『1983年ニッサン300ZXターボTバールーフ50thアニバーサリー(カナダ仕様/Z31型)』、『1992年ニッサン300ZX 2シーターTバールーフ(Z32型)』の3台で、いずれも左ハンドルの海外向けである。

日産自動車本社1階のショールームで展示中だった歴代モデル。全て左ハンドルの海外向けだ。
日産自動車本社1階のショールームで展示中だった歴代モデル。全て左ハンドルの海外向けだ。    平井大介

歴代モデルが北米市場で愛されてきたことはよく知られており、ミスターKが……という話は長くなるので控えるが、広大な大地や西海岸が似合ういい意味でバタ臭い雰囲気もまた、フェアレディZの魅力なのだと思う。

技術力が上がりメーカー間の品質差が少なくなった昨今、購入の決め手になるのは、クルマが持つストーリーとなる場合が多い。それは自動車に限らない話だ。しかし、プロダクト自体にストーリーがあり、さらに乗り手側からも重ね合わせたくなるストーリーがたくさんあるケースは、それほど多くない。

フェアレディZはまさにそういうクルマで、今ならかつて『EVで出てきたら凄いなぁ』と思った自分に、『こういうのでいいんだよ!』と断言できるのであった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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