RRでミニ・シリーズに勝負(1) ライレー・エルフ vs シンガー・シャモア・スポーツ ライバル同士を3つのボディで振り返る

公開 : 2026.05.31 17:45

興味が奪われる小気味いいエンジン音

そんなエルフへ直接的に対峙したのが、1964年後半に登場したシンガー・シャモア。ベースとなったヒルマン・インプは、1965年にMkIIへアップデートし、翌1966年にツインキャブレター・エンジンの「スポーツ」が登場している。

女性ラリードライバーのローズマリー・スミス氏は、兄弟モデルとなるサンビーム・インプをドライブし、1965年のオランダ・チューリップ・ラリーで優勝。シャモア・スポーツの販売を、後押しすることになった。

シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)
シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

ダーク・グリーンのボディは端正だが、まず興味が奪われるのは、小気味いいエンジン音だろう。運転席には、俳優のリチャード・ブラッドフォード氏が似合うに違いない。

今回ご登場願ったのは、1967年式。オーナーのレス・ヒューマン氏は、このクルマを1999年に購入したが、レストア半ばの状態にあったそうだ。

最大の問題は優れない製造品質だった?

優れない製造品質が最大の問題だったのでは、と彼は指摘する。「素晴らしいトランスミッションが載った、ドライバーズカーですよ。100km/h前後での巡航も余裕です。インプ MkIも所有していますが、明らかに速いですね」

高級感でいえば、シャモア・スポーツよりエルフの方が勝る。ダッシュボードの雰囲気も、どちらかといえばオフィス的。それでも、フロントシートはリクライニングでき、メーターパネルは情報を確認しやすく、1960年代らしい上質な雰囲気はある。

シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)
シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

「公道を走る小型車の中で、最も訴求力の高い1台です」と、当時のAUTOCARはシャモア・スポーツを称えた。特に、動力性能と操縦性を高く評価している。

ところがライレーと同様に、1970年代を迎えるまでにシンガー・ブランドは消滅。シャモアの提供も終了してしまう。その3年前、親会社のルーツ・グループはクライスラー社によって買収。インプ・ファミリーへ、充分な機会が訪れることはなかった。

ライレー・エルフとシンガー・シャモア・スポーツのスペック

ライレー・エルフ(1961~1969年/英国仕様)

英国価格:607ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約315万円)以下(現在)
生産数:3万912台
全長:3302mm
全幅:1410mm
全高:1334mm
最高速度:125km/h
0-97km/h加速:24.1秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:649kg
パワートレイン:直列4気筒998cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:38ps/5250rpm
最大トルク:7.1kg-m/2700rpm
ギアボックス:4速マニュアル/前輪駆動

シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)

英国価格:695ポンド(新車時)/1万ポンド(約210万円)以下(現在)
生産数:4149台
全長:3588mm
全幅:1530mm
全高:1384mm
最高速度:144km/h
0-97km/h加速:16.3秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:723kg
パワートレイン:直列4気筒875cc 自然吸気 SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:51ps/6100rpm
最大トルク:7.1kg-m/4300rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)
シンガー・シャモア・スポーツ(1966~1970年/英国仕様)

この続きは、RRでミニ・シリーズに勝負(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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