イングリッシュ・コルベットの異名 トライアンフTR8(1) とんがりボディにV8エンジン 目標はラリーカーの量産版
公開 : 2026.06.07 17:45
目指したのはラリーカーの量産版
トライアンフ側にも、諦めない空気は残っていた。1980年12月、BLでモータースポーツ部門を率いたリチャード・ハードウェル氏から、ソリハル工場長のジョン・ミックルライトへ届けられた手紙には、次のように記されていた。
「グリーンのTR8は、モータースポーツ部門でエンジンとサスペンションの改造を受けています。英国と欧州のスポーツカー市場向けとして、仕様を決めるために」。ワークス仕様のTR7 V8を仕上げた技術者は、密かに作業を進めていた。

当時TR7の製品企画を仕切っていたデニス・チック氏は、成功を収めたTR7 V8 ラリーカーの量産版を、英国仕様では目指していたことを認めている。今回ご登場願ったポセイドン・グリーンの1台は、そこに記されていた車両そのもので、唯一の試作車だ。
V8エンジンの最高出力は273psへ上昇
エンジンには、ローバーSD1用のカムシャフトと強化バルブスプリングが組まれ、ピストンは高圧縮比化。標準の北米仕様は8.31:1だったが、9.75:1へ高められ、最高出力はシャシーダイナモ試験で273psへ上昇していたという。
この馬力を受け止めるべく、シャシーも改良。サスペンションは、タイトなダンパーへ交換され、専用スプリングで車高は25mmダウン。リアのスタビライザーは省かれた。

トレーリングリンクの再設計や強化ブッシュなどで、減速時のノーズダイブや加速時のテールスクワットは抑制。ブレーキはAP社製で、フロントには4ポッドキャリパーとベンチレーテッドディスク、専用パッドが組まれ、リアのディスクも大径化された。
アルミホイールもインチアップし、タイヤはミシュランTRXを履いた。現在は、トーヨー・プロクセスだが。フロントノーズには、TR7 V8ラリーカー譲りとなるFRP製のスポイラーを装備。風洞実験で、リフト量を3割低減することが確かめられている。
この続きは、トライアンフTR8(2)にて。
































































































































