ミケロッティの若見えボディ トライアンフ・ヘラルド UK版中古車ガイド(1) 高速巡航も余裕

公開 : 2025.11.09 17:45

強固なシャシーを活かしたミケロッティの若見えボディ エンジンは堅牢 夢中になれる楽しさ 現在の交通にも問題なし 「錆びる箱」と呼ばれた時代も UK編集部が中古車で魅力を再確認

強固なシャシーを活かしたミケロッティのボディ

ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)へ対抗するため、1950年代末にスタンダード・トライアンフの技術者、ハリー・ウェブスター氏が生み出したのが、バックボーンフレームの新しいシャシー。アウトリガーを備え、軽量・強固だった。

サスペンションは、前がダブルウイッシュボーン式で、コイルスプリングとダンパーが支えた。リジットアクスルが一般的な時代に、後ろも独立懸架式のスイングアクスル。ステアリングラックは、先進的なラック&ピニオン式が採用された。

トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)
トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

スタイリングを担当したのは、ジョヴァンニ・ミケロッティ氏。丈夫なシャシーを活かし広いガラスエリアを与え、初心者でも運転しやすいボディが生まれた。派生ボディの展開も容易で、サルーンの他にコンバーチブルやバンも提供されている。

他方、英語のスタンダードという単語は、「高水準の維持」から戦後に「基本的」といった意味へ変化。スタンダード・トライアンフは、ブランドイメージを理由にトライアンフのみの名称へ改められた。

運転へ夢中になれる 現在の交通にも問題なし

1959年に発売された、トライアンフ・ヘラルドの4気筒エンジンは、当初の948ccから最終的には1293ccへ拡大。高速道路の巡航も、余裕でこなせる能力を得るに至った。

1970年代を意識したフォルムは、シャープなボンネットラインが特長。車内にはカーペットが敷かれ、ヒーターも標準で装備した。シートは座面高を変えられ、ステアリングコラムは前後方向にも調整可能。高級感溢れる内装も魅力といえた。

トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)
トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

当時の試乗レポートでは、タイトコーナーで不意に浮き上がるリアタイヤの挙動が批判されている。今でも、攻め込んだ旋回中の強いブレーキングは避けた方が良いだろう。それでも、日常的な速度域での安全性や扱いやすさは高く評価された。

運転へ夢中になれる楽しさを秘めた、ヘラルド。特に後期型の12/50や13/60では、現在の交通にも問題なく交われる。ステアリングの反応は正確で、乗り心地も悪くない。小回りは良く利くが、フロントタイヤをすり減らせるのでご注意を。

オーナーの意見を聞いてみる

「母のトライアンフで自分は運転を覚えたのですが、彼女は窓を突き破って自宅へ突っ込む事故を起こしたんです。学校から戻ると、クルマはヘラルドになっていました」

「あだ名はジャシー。ボディカラーが、ジャスミン・イエローだったからでしょう。それ以来、母の愛車として地元では広く知られていました。父も、晴れた日にはソフトトップを開いて近所を徘徊していましたね」。と振り返る、スー・フランクリン氏。

トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)
トライアンフ・ヘラルド(1959〜1971年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

「わたしが譲り受けたのは、1986年。その頃はサルーンのトライアンフ・スタッグを所有していて、乗る機会は限られました。現在はトライアンフ・スポーツ・シックス・クラブに入会し、20年ほど地元の活動に関わっています」

「ドライブトレインなどはオリジナル。ボンネットは父が磨き込みすぎたので、再塗装しました。ソフトトップはモヘア。オリジナルの内装へマッチする、ベージュのカーペットを敷いています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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