先進運転支援システム「ADAS」にメス 煩わしさ低減へ ユーロNCAP、欧州で安全試験を見直し

公開 : 2026.05.27 07:25

ハンズフリー運転の安全性

自動運転技術は今後10年でより広く普及すると予想されているが、すでに展開を進めている企業もある。

先月、オランダ車両局(RDW)はテスラに対し、オプションの「監視型フル・セルフ・ドライビング(FSD)」をオランダの公道で運用することを認可した。FSDは数年前に米国で導入された半自動運転システムで、ドライバーは道路から目を離さない限り、運転を車両に任せることができる。

フォードの「ブルークルーズ」で走行するAUTOCAR UK編集部記者(英国で撮影)
フォードの「ブルークルーズ」で走行するAUTOCAR UK編集部記者(英国で撮影)    AUTOCAR

他の自動車メーカーも同様のシステムを展開しているが、その機能はより限定的だ。例えばフォードの「ブルークルーズ(BlueCruise)」は、テスラのFSDと同様の半自動運転機能を備えるが、指定された「ブルーゾーン」(主に高速道路)内でのみ使用可能だ。

メルセデス・ベンツのレベル3「ドライブ・パイロット」システム(SクラスおよびEQSセダンのオプション)は、ドイツ、米国カリフォルニア州、同ネバダ州の特定の道路でのみ使用可能であり、交通量の多い状況下で、時速40マイル(約64km/h)以下、かつ天候が良好で路面標示が確認できる場合に限られる。

パラオ氏はFSDを批判しなかったが、特にテスラが欧州の安全プログラムに参加していない点を踏まえ、その実装方法について疑問を呈した。

「FSD(のドライバーモニタリングシステム)において、ドライバーが『道路に目を向けている』とはどういう状態なのでしょうか? ハンドルに取り付けたスマートフォンで映画を見ていても、道路を見ているとシステムを欺くことができます。それが良いことか悪いことか判断するには、まだ情報が不十分です」

「テスラのFSDシステムを使用中に事故を起こした場合、責任を負うのはドライバー自身であることを忘れてはいけません」

ADASの公道テストを開始

ドライバーの間で安全技術に対する懐疑的な見方が広がる中、ユーロNCAPは現在のADAS機能の信頼性と精度を検証するため、初めて公道での車両テスト「公道走行評価プログラム」を実施する。

今年から、同機関がテストするすべての車両には、速度制限を正確に監視し、車両がそれにどう反応するかを記録するためのセンサー一式が装備される。少なくとも3つの欧州諸国で合計約1900km走行し、すべての反応が記録される。

メルセデス・ベンツGLB with EQテクノロジー
メルセデス・ベンツGLB with EQテクノロジー

パラオ氏は、「ユーロNCAPは長年にわたりADASに取り組んできましたが、今後はテストコースだけでなく、実際の道路環境でも確実に機能することを確認したい」と述べた。

「例えば、(車線維持支援機能は)煩わしく、過度に干渉的ではないか。速度制限情報の精度はどうか。誤ったブレーキ作動はなかったか、などです。これは、エンドユーザーの体験がどのようなものかを明らかにしようとする初めての取り組みです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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