大統領も乗るフランスの新フラッグシップ『DS No8』発売開始! クラシックDSにも通じる、高級を知り尽くした仕立てに感心【森口将之が解析】

公開 : 2026.05.28 11:00

「この手があったか!」

インテリアで何よりも目立つのが、十文字スポークのステアリングだ。もう少し径が大きいと、さらにクラシカルに見えそうだが、現状でも思わず送りハンドルで操作したくなる。「この手があったか!」と唸ってしまった。

ドアトリムやセンターコンソールなどには放射状のディテールが施され、エアコンルーバー周辺にはシャンパンゴールドを起用。イルミネーションの中には白熱電球のような暖かい色もあって、歴史的建造物の中にいるような感覚だ。

インテリアで何よりも目立つ、十文字スポークのステアリング。
インテリアで何よりも目立つ、十文字スポークのステアリング。    平井大介

どれも派手ではないのに上質。さすがパリ生まれ、高級のなんたるかを知り尽くした仕立てに感心した。

ハイバックタイプのフロントシートは、ナッパレザーらしいしっとりした着座感。DSのロゴが刻まれた首の部分からは、冬は温風を出すことも可能だという。リアは座面の傾きが大きく、背もたれに上半身を預けて座る感じ。座面はそんなに高くなく、見晴らしよりも密室感を重視していて、これもクラシックDSに近い。

アクティブスキャンサスペンションを採用

No8はEVで、前後合わせて350psのツインモーターによるAWD。満充電での航続距離は欧州仕様で691kmと、充分な値だ。

フォーミュラeに草創期から参戦しているうえに、フラッグシップということもあるだろう、加減速はEVとしては唐突感がなく、扱いやすい。全開加速を強烈と感じさせないのも性格づけだろう。もちろん回生ブレーキの調節はパドルで可能だ。場所によってはタイヤの音が気になるものの、静かさはやはり印象的だった。

No8はEVで、前後合わせて350psのツインモーターによるAWDとなる。
No8はEVで、前後合わせて350psのツインモーターによるAWDとなる。    平井大介

STLA-MプラットフォームにはDSならではの、カメラからの情報でサスペンションの硬さを変える、DSアクティブスキャンサスペンションが組み込まれている。DS 7やDS 9のようなストローク感は控えめだったが、独特のゆったりとした揺れは体感できた。

AWDのEVということで、ハンドリングは前輪駆動のエンジン車とは違い、車体全体で曲がっていく感触。コーナーの立ち上がりでは後輪の駆動力も感じる。モーター駆動ということもあって、モダンな移動体という印象が強い。

クリアになってきたDSの世界

試乗車はアブソリュートパッケージのオプション(価格40万円)が組み込まれていて、マッサージ効果をもたらすフロントマルチポイントランバーサポート、フォーカル・エレクトラ3Dプレミアムサウンドシステムなどを装備。

こうした快適装備を味わい、優美なボディの内側にしつらえられた、凝ったインテリアに囲まれてクルージングしていると、DSオートモビルの提案する世界が、これまでよりクリアになってきた。

日本導入は『エトワールAWD』1グレードで、価格は1005万円となる。
日本導入は『エトワールAWD』1グレードで、価格は1005万円となる。    平井大介

デザインやエンジニアリングに迷いを感じるプレミアムブランドもある中、いい意味で振り切っている。限られた人だけがこの世界を知るのはもったいないのではないか。繁華街などに展示して、多くの人がフレンチプレミアムの真髄を感じ取れるようにしてもらいたい。

なお日本導入は『DS No8エトワールAWD』1グレードで、価格は1005万円。ボディカラーは『ノアール・ペルラ ネラ』のほか、12万円のオプション色として『クリスタル・パール』(取材車)、『グリ・パラディオム』、『ブルー・トパーズ』、『ブラン・アルバータ』が用意される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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