ポルシェ史上最強 フル電動の新型『カイエン』予約受付開始 インテリアも大幅進化、大型ディスプレイ搭載

公開 : 2025.11.21 07:05

ポルシェが新型EV『カイエン・エレクトリック』を発表しました。カイエン初のフル電動モデルで、最高出力1156psのデュアルモーターを搭載し、ハイパーカー並みの加速性能を実現。日本国内では予約受付中です。

現行モデルと並行して販売

ポルシェが待望の新型『カイエン・エレクトリック』を発表した。最高出力1156psを誇る、同社史上最強のモデルだ。

タイカン、マカン・エレクトリックに続くポルシェ3番目のEVで、「新時代の幕開け」と位置付けられている。カイエンとしては4代目に数えられるが、内燃機関を搭載しないという設定は2002年の初代モデルの発売以来初となる。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック    ポルシェ

これはEV専用プラットフォーム『PPE』を採用したためだ。当初、ポルシェは2030年までにラインナップの80%を電動化するという大胆な目標を掲げていた。しかし昨年、開発途中でEVへの需要が予想より低調なことを理由に、計画を見直した。そのため、新型カイエン・エレクトリックと並行して、現行の3代目カイエンの販売を継続する。3代目は来年、大幅な改良(2度目のマイナーチェンジ)が行われる予定だ。

つまり、ポルシェのフラッグシップSUVは、2030年代までガソリン、ハイブリッド、EVの3種類のパワートレインで販売されることになる。

ポルシェのマーケティング責任者マティアス・ベッカー氏は、「カイエンの電動化によって、ポルシェは将来の基準となる新たなレベルの性能に到達します。同時に、効率的な内燃エンジンとハイブリッドドライブを搭載したカイエンの開発を、次の10年に向けても続けていきます」と述べている。

ポルシェジャパン株式会社は、日本向けのカイエン・エレクトリックの予約受付を11月20日より開始している。税込み価格は、標準のカイエン・エレクトリックが1335万円から、上位のカイエン・ターボ・エレクトリックが2101万円からとなっている。

ハイパーカー並みの加速性能

4代目カイエンは、親会社フォルクスワーゲン・グループのMLBプラットフォームから、EV専用プラットフォームのPPEへ移行した。このプラットフォームはマカン・エレクトリックやアウディQ6 eトロンにも採用されている。

上位モデルのターボでは、デュアルモーターのパワートレインを搭載し、ローンチコントロール作動時で最高出力1156ps、最大トルク152.9kg-mを発揮する。これにより、0-100km/h加速2.5秒、0-200km/h加速7.4秒という驚異的な加速性能を実現。最高速度は260km/hに達する。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック    ポルシェ

出力はタイカン・ターボGT(1108ps)を上回り、ポルシェがこれまでに販売したロードカーの中で最もパワフルなモデルとなった。さらに、最新の911ターボSと並んで、0-100km/h加速タイムが3番目に速いモデルとなった。これを上回るのは、タイカン・ターボS(2.4秒)とタイカン・ターボGT(2.2秒)だけである。

この圧倒的なパワーの鍵となるのは、カイエン・ターボ・エレクトリックのリアモーターだ。モータースポーツから派生した革新的な直接油冷システムを採用しており、「高い連続出力と効率」を実現するという。

通常の走行モードでは、ターボモデルは最高出力857psを発生し、ステアリングホイール上の「プッシュ・トゥ・パス」ボタンを押すと、さらに176psの出力を10秒間追加で発生させることができる。

エントリーモデルもデュアルモーター駆動システムを搭載するが、出力は408psに抑えられ、マカン4エレクトリックと同等となる。ローンチコントロール作動時には442Ppsへと向上し、0-100km/h加速4.8秒、最高速度230km/hに達する。

航続距離は最大642km

113kWhバッテリーを搭載し、エントリーモデルは最大642km、ターボモデルは最大623km(複合WLTP)の航続距離を実現。BMW iXロータスエレトレといった競合車種の性能を上回った。

800V電気システムにより、適切なDC充電器を使用すれば最大390kWの急速充電が可能で、16分未満で10~80%(約320km分)を充電できる。回生ブレーキによる電力回収は最大600kWに達する。

カイエン・エレクトリックの特徴の1つとして、ワイヤレス充電機能がある。ケーブルを必要とせずにフロアプレートの上に駐車するだけで最大11kWの誘導充電が可能だ。ただし、英国仕様の場合、水冷式充電レセプター(重量15kg、車体下部の保護クラッディング裏に装着)が2000ポンド(約40万円)、充電パッドが3000ポンド(約60万円)の有料オプションとなる。英国仕様のカイエン・エレクトリックには全車、レセプター取り付けに必要な配線とホースが標準装備される。

マカン・エレクトリックと同様に、カイエン・エレクトリックにもシングルモーター/後輪駆動モデルが追加されると予想されている。

ターボモデルには『ポルシェ・アクティブライド』と呼ばれる特殊サスペンションが装備され、ボディロールやピッチングをほぼ完全に補正するという。さらに、トルクベクタリング・システムとリアリミテッドスリップデフも搭載する。また両モデルとも、後輪を最大5度操舵するリアアクスルステアリングが用意される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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