1000Nmの加速は圧巻! 高級車として圧倒的な存在感『ベントレー・コンチネンタルGTCマリナー』【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.06.04 11:45

現在のベントレーの象徴的存在

コンチネンタルGTCマリナーのパワーユニットは、現在のベントレーの象徴的存在ともいえる『ウルトラパフォーマンスハイブリッド』、すなわち3996ccのV型8気筒ツインターボエンジンにエレクトリックモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドだ。

V8エンジン単体でも最高出力と最大トルクは600ps、800Nmとなり、それを同じく190ps、450Nmのスペックを掲げるエレクトリックモーターがサポート。システム全体では782ps、1000Nmという性能を誇る。

3996ccのV8ツインターボにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを採用。
3996ccのV8ツインターボにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを採用。    平井大介

さらに25.9kWhの容量を持つバッテリーを搭載し、約80kmをEV走行可能。参考までに70Lのガソリンタンクをフルに満たし、さらに満充電からの状態から可能な最大走行距離はWLTCモードで851km+81kmと発表されている。

センターコンソール上のスイッチで、まずは最もスタンダードな走行モードとなる『B』を選択し、アクセルペダルを静かに踏み込んでいく。その状態ではエンジンは始動することなく、エレクトリックモーターからの駆動力のみで加速は始まるが、2636kgのウエイトを負担に感じることはほとんどない。

驚くほどの静粛性に包まれるキャビン

EV走行の最高速度は140km/hとなるが、日本の制限速度内であればなおさら、キャビンは驚くほどの静粛性に包まれる。トップをオープンにしても風の巻き込みはわずかで、走行中に全身を包む快適さは試乗前に想像していたものを確かに超えていた。

まだまだEV走行ができる距離は残されていたが、ここで『スポーツ』モードを選んでエンジンをスタートさせた。そのエキゾーストノートは、ベントレーにとって重要な市場であるアメリカでの志向性を意識したかのような、低音でかつ重厚な印象を受けるものだが、これもまたキャビンで耳障りと感じるものではない。

トップをオープンにしても室内への風の巻き込みはわずかだ。
トップをオープンにしても室内への風の巻き込みはわずかだ。    平井大介

最大トルクの800Nmを2000-4500rpmでフラットに発生することはもちろん、それにエレクトリックモーターが介入することでその数字が1000Nmにまで高まった時の加速感は圧巻で、しかもその加速にはまさにいつ終わりが訪れるのかも分からないほどの息の長さがあった。

そのどれもがドライバーズカー

組み合わせられる8速DCTの制御も素晴らしく、さらにパワーユニットから生み出されたトルクはアクティブ4WDシステムによって常に最適な比率で前後輪に配分されるから、コーナリング中でもそのスタビリティに不安を感じることはない。

オープンボディでありながら、それをハンデと感じさせない圧倒的な剛性感が得られているのも、あらゆるステージにおいて走りに安心感、そして快適さを演出してくれる大きな理由だ。

サスペンションやステアリングの動きも常にナチュラルな印象だ。
サスペンションやステアリングの動きも常にナチュラルな印象だ。    平井大介

サスペンションやステアリングの動きも常にナチュラルな印象に終始し、特に後者は連続したコーナリングでも、結果的にボディの大きさを意識させることをさせない正確さをも持ち合わせている。ベントレーというブランドが作り上げるクルマは、そのどれもがドライバーズカーにほかならない。そんな極めて基本的な常識を、改めて思い知ることになった。

周知のとおりベントレーは今年1月、コンチネンタルGTCのラインナップに新たに『S』モデルを追加している。よりパフォーマンス志向の強いカスタマーに向けたSを選ぶべきか、あるいはこのマリナーを選ぶべきか。ベントレーが新たに投げかけてくれたこの難題への解答を導くまでには、かなりの時間が必要になりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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