ミシュランのサステナビリティ戦略と新製品をタイヤの達人が解説(後編) 社会的要請に対するふたつの答え

公開 : 2026.06.10 17:45

しんなり・しっとりが増したプライマシー5エナジー

一方、『プライマシー5エナジー』は、トヨタプリウスに195/60R17 94H XLという組み合わせ。

こちらは『環境性能と上質さを磨き上げた、プレミアムコンフォートタイヤ』をコンセプトに、eプライマシーから進化。優れた低燃費性能、耐摩耗性能とウエット性能を兼ね備えたプレミアムコンフォートタイヤだ。

排水性、ウエットグリップともに優秀なプライマシー5エナジー。
排水性、ウエットグリップともに優秀なプライマシー5エナジー。    ミシュラン

プライマシー5は、カチッとした乗り味の中にしんなり・しっとりした柔軟な感触があるが、プライマシー5エナジーは、そのしんなり・しっとりした成分が多くなっている。

よりコンフォート性に特化した感触があり、これはこれで割り切っていて潔いし、実際の乗り心地もマイルドで快適。静粛性も高く、空力のいいプリウスとの組み合わせだと、高速巡航でもしんと静かな空間に居るような感覚になる。

予想を裏切るウエット性能の良さ

経験的に、この手のクルマでウエット性能の良い印象はないのだが、この点に関してもプライマシー5エナジーは良い意味で予想を大きく裏切ってくれた。

80-0km/hのウエットブレーキは31m台で、じつはこれ、試乗車は違うがプライマシー5の試乗会時のデータと変わらなかったのだ。

水深は深めだったがハイドロプレーニングの兆候はほとんどなく、ブレーキを踏んだ瞬間から路面にコンタクト感があり、同時に強い制動力が出てくる。排水性、ウエットグリップともに優秀だ。

また、残溝2mmまで削った摩耗タイヤのテストでは、ブレーキ直後に水に乗った感覚が10~15mほどあり、路面とタイヤがコンタクトしてからは、新品と変わらない強い制動力を発揮してくれた。

ちなみに、制動距離は42mほどだった。これは残溝2mmまで摩耗したタイヤとしてはかなり優秀なデータといえる。

縦溝4本のトレッドデザイン、溝形状もスクエアで、摩耗しても溝幅が狭くならない形状にすることで、摩耗限界時でも考え得る最上のウエット性能を確保しているということだ。

ウエット路面だけではなかった

ドライ路面でのスラロームも、印象は良かった。

スポーツ性を期待すると、応答はステアリング操作に対して鈍くはないがややスローで、タイヤの変形感も感じられる。だが、コンフォートタイヤとして考えれば、微小舵領域からきちんと応答が出ており、心地よさに軸足を置きながらも、快適性と操縦性を上手にバランスさせている。

転がり抵抗AAAは、たぶんどの純正タイヤから履き替えても、燃費性能の向上が期待できる。それでこのウエット性能まで備わっていることに、改めて感心させられた。

『環境も、走りも、妥協しない』を再認識

今回の試乗会は、ワークショップを含むユニークなものだった。

現在のタイヤを取り巻く環境や要請を知り、その状況の中で、ミシュランが作り出したパイロットスポーツ5エナジーとプライマシー5エナジーを試乗して、改めてミシュランが掲げる『環境も、走りも、妥協しない』というタイヤに対する考え方を感じ取ることができた。

座学あり、タイヤ溝堀り体験あり、もちろん試乗もありの、盛りだくさんな試乗会だった。
座学あり、タイヤ溝堀り体験あり、もちろん試乗もありの、盛りだくさんな試乗会だった。    ミシュラン

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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