感動レベルのハンドリングマシン! アストン マーティン・ヴァンテージ『S』は見た目以上の進化【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.06.15 12:05

圧倒的なトルクフィール

センターコンソール上のロータリースイッチで『ウエット』、『インディビジュアル』、『スポーツ』、『スポーツ+』そして『トラック』のドライブモードが選択できるヴァンテージSだが、まずは実質的にはこれがデフォルトともいえるスポーツモードでドライブを始めた。

アクセルペダルを一気に踏み込むと、瞬時に全身を襲うのはやはり大排気量エンジンならではの圧倒的なトルクフィールだ。

室内で感じるのは、大排気量エンジンならではの圧倒的なトルクフィールだ。
室内で感じるのは、大排気量エンジンならではの圧倒的なトルクフィールだ。    平井大介

加えて800Nmの最大トルクは3000~6000rpmまでのレンジでフラットに発揮されるから、素晴らしいシフト制御を見せる8速ATとの組み合わせで、どのような速度域からでもアクセル操作だけで瞬時に加速態勢を整えることができる。

もちろんこの8速ATはパドル操作によるマニュアルシフトにも対応しているが、その必要を感じるシーンは限られていた。さらにスポーツ+へとモードを切り替えると、エキゾーストシステム内のバルブが開き、排気音はよりそのボリュームを高めるほか、エンジンやミッションのレスポンスも驚くほどに鋭くなる。

アストン マーティンによれば、ヴァンテージSは0→100km/h加速を3.4秒でこなすというが、その数字には十分な説得力がある。

スタビリティは確実に向上

だがさらなる驚き、すなわちスタンダードなヴァンテージとの違いは、コーナリングでの動きにあった。

Sモデルへの進化に伴って、アストン マーティンはリアのサブフレームをソリッドマウント化し、これによって横方向の剛性を30%強化することに成功しているのだが、その効果がハンドリングにおいて明確に表れているのだ。

ヴァンテージSは、アストン マーティンにとって究極のピュアスポーツだ。
ヴァンテージSは、アストン マーティンにとって究極のピュアスポーツだ。    平井大介

ステアリングの動きはよりクイックで正確なものとなり、やや大きめなロールこそ感じさせるものの、ダンパーのセッティング変更が功を奏して、実際にドライバーが感じるスタビリティは確実に向上している。

トラックモードでその印象はさらに強くなるのだが、こちらは常にフラットであるとは限らないオンロードでは、やや乗り心地が犠牲になる印象だ。

アストン マーティンにとって究極のピュアスポーツともいえる『ヴァンテージS』。それは感動的と評してもよいハンドリングマシンであると同時に、これもまたライバルに対して大きなアドバンテージを持つラグジュアリー性を秘めたモデルだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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