BMW 3.0 CSL/ポルシェ911 カレラRS 2.7(1) 2台で異なるホモロゲへのアプローチ 公道体験は対照的

公開 : 2026.07.12 17:45

ランボルギーニ・ミウラに匹敵する動力性能

「細いホイールと軽量シート、薄いバンパーの状態で車重が計測され、ホモロゲーションを取得しました」とプリルが続ける。その後工場へ戻され、ディーラーの要望を元にツーリングのRSTか、150kg軽いライトウエイトのRSL、2種類の仕様で整えられた。

カレラRS 2.7に搭載された水平対向エンジンは、213psを6300rpmで発生。0-97km/h加速を5.5秒、0-161km/h加速は15.0秒で処理し、ランボルギーニ・ミウラに匹敵する動力性能にあった。低い車高とダックテール・スポイラーも、食指を動かしたはず。

ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)
ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

レースでの活躍が重なり購入希望者は続出し、ポルシェは500台を追加生産。これにより、グループ3 プロダクションクラスのホモロゲ取得も可能になっている。最終的にラインオフしたカレラRS 2.7は、1580台。内111台が、右ハンドルだ。

ピュアな美しさを放つフックス社製アルミ

今回のカレラRS 2.7は、カーズ・インターナショナル・ヘリテージ社の在庫車両。1973年に、ラリードライバーのハインツ・ヴァルター・シェーヴェ氏が注文したもの。納車後はラリーイベントを転戦し、2013年のレストアを経てディーラーが購入している。

992型の911「RS」へ見慣れていると、印象は驚くほど穏やか。控えめにフェンダーがフレアし、フックス社製アルミホイールがピュアな美しさを放つ。ダックテールスポイラーは高くそびえ、いかにも気流がリアタイヤを路面へ押し付けそうだ。

ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)
ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

典型的な911のメーターパネルには、VDO社製メーターが4枚並び、タコは7250rpmからレッドゾーン。スピードは300km/hまで振られている。4スポークのステアリングホイールは、不釣り合いなほど大きい。

隙を見て暴れたがるリアタイヤ

ペダルはフロアヒンジで、右へオフセット。5速MTのシフトレバーは、後方へ傾斜している。細いストラップを引くと、内側からドアを開ける。装備は最低限でしかない。空冷のフラット6は、轟音とともに始動。鋭く上昇する回転数を、僅かに高めて発進する。

ステアリングは適度に重く、後ろ寄りの重量配分から想像できないほど、手応えには安心感がある。フロントノーズの上下動は大きく、路面へ擦りそうなほどスカートが近い。

ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)
ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

同時期の911と比べれば、安定感は別物。グリップ力が高く、アンダーステアの兆候はまったくないが、リアタイヤは隙を見て暴れたがる。2.7Lエンジンは中域から太いトルクを放ち、高域へ引っ張ればキャビンに咆哮を充満させる。

パワーオフで、テールから破裂音が放たれる。ギア比は高めで、変速は想像以上に正確。公道で召喚できる能力は半分程度で、サーキットへ向かいたくなる。実に歯がゆい。

この続きは、BMW 3.0 CSL / ポルシェ911 カレラRS 2.7(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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