レクサス・パスファインダー・エアレーシング、『エアレースX 2026』で王座奪還を目指す 進化のために採用された四輪車の技術とは?

公開 : 2026.07.18 07:45

良い機体づくりができた

まずは、室屋選手が愛機『ジブコ・エッジ540V3』の前で今シーズンのフライトについて語ってくれた。

室屋選手によれば、昨年のオフから準備を積み重ね、良い機体づくりができたという。第1戦は惜しくも3位に終わったが、確実にポイントは得ているので残り3戦で巻き返しを図っていきたいとしている。

愛機『ジブコ・エッジ540V3』の前で今シーズンのフライトについて語る室屋選手。
愛機『ジブコ・エッジ540V3』の前で今シーズンのフライトについて語る室屋選手。    篠原政明

今やライバルとの差はわずかであり、年間チャンピオンを狙うには毎回確実にポイントを取ることが重要。一発のタイムは速くても天候などの条件もあるので、レースウイーク中にいつでも対応できるよう、チーム体制は整っている。

今シーズンは前述のように7月5日までに連戦でレースウイークが展開し、昨シーズンのように前戦の結果を踏まえて次の作戦を、というのはできなかったが(ライバルの動向はわからない)、期待のアップデートなどはオフシーズンから進めてきたので、手応えは感じているという。

ただ、やはり個人的にエアレースはライブで見てみたい。オーガナイザーも現在のようなマルチロケーションのバーチャルレースを展開しながら、最終戦だけは特定の会場でライブレースを行うことも検討しているらしい。それが日本で開催されるよう、期待したいものだ。

今シーズンのアップデート部分

中江氏は、今シーズンのアップデート部分を実機を見ながら紹介してくれた。

まず、昨シーズンの敗因として、高温多湿なフライトでは空気密度が下がってエンジンがパワーダウンすることがあった。そこでまずエンジンのインテークに水を噴射して吸入する空気を冷やす、レーシングカーやラリーカーなどにおけるウオータースプレーのようなものを採用した。

今シーズンのアップデート部分を実機を見ながら話す、レクサスの中江氏。
今シーズンのアップデート部分を実機を見ながら話す、レクサスの中江氏。    篠原政明

また、エンジンを覆うカウリング内の空気を整流して冷却効率を高めるディフレクターは、ジュラルミンの塊から5軸NC加工で削り出して製作。

これは従来の鈑金叩き出しのものより、継ぎ目のない構造のため強度が高まり、またCADで形状をすぐに変更できるメリットもある。カウリングそのものも、気象条件などに合わせて様々な形状のものを採用している。

機体表面では、主翼の後方部分にほとんど見えないような細かい凹凸を付けて空気抵抗を減らし、タイムアップを果たした。実は3月に東京ミッドタウンで開催されたイベントで室屋選手が話しかけて中江氏からストップがかかった技術なのだが、ゴルフボールのディンプルや競泳用のサメ肌水着のような構造となる。

実際、旅客機などでも同様の塗膜を採用し、空気抵抗を減らすことで燃費の向上を図っている。この技術は、将来的にレクサス車にも応用してみたいと中江氏は語る。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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