アウディが求める理想の乗り味はEVでこそ活きる 『SQ6 eトロン』に約1200km乗って感じたこと【日本版編集長コラム#92】

公開 : 2026.07.26 12:05

やはりぬるっとしているステアリングの感触

気になったところは、前回のQ5でも記したADAS系の制御。ひと世代新しくはなっているようだが、不自然さが伴う場面があった。また、ステアリング中心のぬるっとした感触も同様で、これはあくまで好みの話として、最後まで気になってしまった。

あとは、ステアリングに備わるタッチスイッチの操作に慣れることができなかったのと、センターディスプレイのインターフェイスも使いこなすのに時間がかかりそうだった。今回の期間で言えば、時計を表示させる方法がわからず不便に感じた。

京都から戻った翌日、自宅から一番近いアウディ沼津で急速充電。
京都から戻った翌日、自宅から一番近いアウディ沼津で急速充電。    平井大介

気になる航続距離だが、デュシタニ京都で91%まで普通充電した際に表示されたのは515km。帰宅した翌日に『アウディ沼津』で80%まで急速充電して376km、その後、自宅で91%まで普通充電して466kmと表示された。ちなみに100%まで充電する設定にした普通充電でいずれも91%になったのは、偶然なのか、何かしらの充電カットが入ったかは不明だ。

100%まで充電すれば500km台後半も見えてくるかもしれないが、都内からだと京都まで充電なしで行くのは心許ないかもしれない。また、クルーズコントロールで固定して法定速度100~120km/hで走った時の電費はあまりよくない印象で、6月中旬となる今回の走行条件において、カタログスペック685kmはだいぶ遠かった。

アウディが求める理想の乗りやすさ

なお、ハイ・パワー・チャージング(HPC)の急速充電ステーションであれば、約21分で10%から80%の回復が可能で、チャデモ方式の150kWでも約35分だという。一方、京都から帰宅した際に15%まで減っていたので自宅の普通充電(3kW)を始めたところ、100%まで20時間と表示された(それで諦めて翌日アウディ沼津に向かった次第)。

やはり3kWでは、バッテリーサイズの小さいモデルやPHEVが現実的で、このSQ6のように大きなバッテリーのEVは、生活圏にディーラーやHPCなどが必須であることを実感した。なお、アウディ沼津は特に予約もせず訪れたのだが、雨の中、傘を持って駆け寄って頂き、歓迎ムードに心が温まる思いだった。

インターフェイスには慣れが必要と感じたコクピットまわり。派手過ぎない赤レザー内装は好印象。
インターフェイスには慣れが必要と感じたコクピットまわり。派手過ぎない赤レザー内装は好印象。    平井大介

このSQ6に限らず、最近のeトロンに乗っていて思うのは、アウディが昨今求める理想の乗りやすさはEVのほうが表現しやすいのではないか、ということだ。

RSのようなスポーティさ、ディーゼルのような圧倒的な航続距離が必要ならエンジンを選ぶべきだが、エンジンが黒子になればなるほど、だったらEVのほうがいいと思ってしまう。冒頭に書いた『やはりアウディはEVで乗るべき』というのはそういう意味で、1200km近くを走る過程で段々と身体に馴染んできて、じわじわと愛着が湧いてきた。

デイトナグレーパールエフェクトという、前回レポートしたQ5と同色の主張しすぎないボディカラーは、質実剛健のドイツ車らしく好印象。SQ6の派手すぎない赤いレザー内装もいい塩梅だ。長年イタリア車を乗り継ぐ筆者であるが、Q5のディーゼルもEVのSQ6 eトロンもそれぞれ良さがあって、アウディを選ぶ人たちの気持ちがわかった……と今回は結論付けておこう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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