伝説の1台がクロスオーバーに ルノー4 E-テック(1) キャンバストップも どんな電動ハード?

公開 : 2025.08.22 19:05

電動クロスオーバーで復活した4 技術は5と共有 オリジナルを想起させる姿 遊び心が効いた内装 充分な動力性能に調整域の広い回生ブレーキ 洗練性は格上モデルに並ぶ UK編集部が試乗

電動クロスオーバーで復活したキャトル

傑作のイメージを巧みに継承し、クラスリーダー級の実力を与えたバッテリーEV、5(サンク)をリリースしたルノー。その勢いを加速するように、伝説的な4(キャトル)がクロスオーバーになって復活を果たした。

オリジナルの存在は、AUTOCARの読者ならご存知だろう。1961年から1994年の間に、北はアイルランドから南はマダガスカルで生産され、800万台以上が販売されている。その島国、マダガスカルでは今でもタクシーとして活躍している。

ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)
ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)

戦後復興のただ中にあったフランスでは、驚くほどの快適性と実用性を市民に提供。車内空間への影響を防ぐため、リアサスペンションはセミトレーリングアームの固定位置が左右で異なり、ホイールベースも違っていた。リアの開口部は、四角く巨大だった。

新しい4は、そこまで大胆な設計ではない。価格も、英国では約2万7000ポンド(約535万円)からと、クラス最安値ではない。それでも、部分的にはオリジナルの哲学を継承した、魅力的な電動コンパクトといえそうだ。

技術は5と共有 オリジナルを想起させる姿

プラットフォームは、ハッチバックの5と共有し、全長は222mm長い。ホイールベースが84mm伸び、残りは前後のオーバーハングに充てがわれている。肉厚なタイヤが組まれ、アウトドア感の漂う雰囲気でありつつ、オリジナルを想起させる見た目だろう。

フロントグリルは、フレーム部分がLEDで強調され、その内側へ円形のヘッドライトが収まる。ボディサイドには、補強用のリブが走る。リアピラー部分には、リズミカルな台形ウインドウ。パステルカラーが中心の多彩な塗装色も、悩める楽しさがある。

ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)
ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)

フロントサスペンションはクリオと共有し、リア側はマルチリンク式。駆動用バッテリーは液冷式のNMCユニットで、重量は300kgを切り、容量は52kWhがうたわれる。車重は計測したところ1493kgで、新しい5より32kgしか重くない。

遊び心が効いた内装デザインは強みの1つ

インテリアも、評判の良い5と共有する。オリジナルのように堅実質素というわけではないが、遊び心が効いたデザインで、ミニ・エースマンのように強みの1つを構成する。ルーフが大きく開くキャンバストップ仕様も、近日追加予定にある。

ダッシュボードの助手席上面にはリブが与えられ、ドアパネルには細かいチェック柄のクロス。絶妙にクラシカルな形状のシートや、アクセントカラーなど、細部までこだわりを感じさせる。クリスタル風のシフトセレクターには、ルノーのロゴが刻まれる。

ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)
ルノー4 E-テック・コンフォートレンジ・アイコニック(英国仕様)

エントリーグレードより上、英国ではテクノとアイコニックを指定すると、タッチモニターとメーターモニターが一体になった、ワイドなパネルがダッシュボード上に据えられる。表示は鮮明で、位置が低めで、圧迫感は小さい。

実際に押せるハードスイッチと、タッチモニターとのバランスも良好。エアコンの風量調整やラジオ選曲といった、日常的な操作が直感的に行える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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