クラシックA110のミニチュアカーを手にした子供時代 アルピーヌのトップが日本で語る未来予想図(3) 聖地ディエップ、そして日本が担う役割とは

公開 : 2026.10.13 11:50

EVであることの難しさと面白さ、意義

―それは現代のA110ではすごくわかるのですが、ハッチバックであるA290やSUVのA390でもそういったものを表現できているのでしょうか?

「目的はふたつあります。ひとつはブランドの認知度を高めることです。アルピーヌという小さなブランドを、全ての層によく知って頂くという意味が込められています。ふたつ目は新しいお客様をお迎えする点です。A290は80%が新規のお客様です。

インタビューに応えるフィリップ・クリエフ氏。
インタビューに応えるフィリップ・クリエフ氏。

新しいお客様にもファントゥドライブ、ドライビングポジション、認知できるクオリティにおいてアルピーヌらしさを保証しています。例えばA390にはトルクベクタリングが入り、A290にはオーバーテークボタンがついています。こういう細かいところがアルピーヌ・ブランドの証明になっているのです」

―今後、基本的には全てEVになると思うのですが、その難しさと面白さ、敢えてEVである意義を教えて頂けますか?

「パワートレイン云々の話ではないと考えております。ドライバーは一度着座してクルマが面白ければ、内燃機関であれハイブリッドであれモーターであれ、気にならないのではないでしょうか。大切なのは、どんなパワートレインかということよりも、エモーションを駆り立てられるかという点です。

ドライビングポジション、レスポンス、リニアリティ、ギアボックスのフィーリングに代わるもの、そして情報伝達としてのサウンドなどを打ち出していく必要があります。スポーツカーとしての魅力を約束した上で、EVならではのベネフィット、繭に包まれているような雰囲気や世界観に浸れることなども提供することが大切です」

アルピーヌの聖地、ディエップの役割

―今後、アルピーヌの聖地であるフランス・ディエップはどのような役割を果たしていくのでしょうか? ファンが楽しめるような仕掛けは予定されていますか?

「ディエップは今後も製造拠点として、またアルピーヌの故郷として存在し続けます。最近までA110を生産し、現時点ではA390を製造しております。ディエップは常にアルピーヌの心臓部、中心です。ミュージアムを加えたり、ファクトリーデリバリーの機会を提供するなど、アルピーヌ体験の一部として頂く方向性を考えております」

右ハンドル仕様が既にラインナップされるA290は、日本上陸が確定的だ。
右ハンドル仕様が既にラインナップされるA290は、日本上陸が確定的だ。    アルピーヌ

―日本で購入したお客さんが現地で納車されるなんて最高ですよね。ちなみに日本市場の重要性や役割はどう考えていらっしゃいますか?

「日本市場を成長の糧としたいと考えています。アルピーヌを将来プレミアムブランドとしてポジショニングしたいと考えており、日本はアジア市場の重要な基礎となると期待しています。販売台数だけでなく、イメージやお客様の質、高い認知度という意味でも日本は非常にユニークで重要なベースです」

―A290とA390は、もうすぐ日本で右ハンドルのクルマが買えるようになりますか?

「A290については右ハンドルがあり、日本での販売をお約束できます。A390については(現時点で右ハンドルがラインナップされていないので)未定の要素もあります」

実は某タイヤメーカー勤務時代に日本在住経験もあり、時に日本語も交えて話してくれたクリエフ氏。今後アルピーヌはプレミアムブランドとしての飛躍が必須となり、その舵取りは重要な役割が求められている。

しかしクラシックA110のミニチュアカーを手にした時の柔らかい表情からは、アルピーヌへの愛情が感じられた。まずは、今後の展開に期待したいところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

アルピーヌのトップが日本で語る未来予想図の前後関係

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