ガソリンが尽きるまで運転していたい ベントレー・コンチネンタルGTC S(2) 豪奢なオープンとして出色の鋭さ 「S」はクーペが正解か

公開 : 2026.11.02 18:10

減少傾向の最上級コンバーチブルにあって、孤高の存在といえるベントレー・コンチネンタルGTC S。スピード譲りのアクティブシャシーに、V8ツインターボ・プラグインHV。UK編集部が試乗。

豪奢な内装のコンバーチブルとして出色の鋭さ

ベントレー・コンチネンタルGTC Sは、4.0L V8ツインターボのプラグイン・ハイブリッド。ソフトトップを開いて、V8ユニットの勇ましいサウンドを浴びるのも良し、Eモードで自然界の音へ耳を傾けるも良し。どちらも魅力的で迷ってしまう。

ただし、スポーツモード以外で駆動用バッテリーの残量が乏しくなると、V8エンジンは頻繁に始動と停止を繰り返す。オプションのアクラポヴィッチ社製チタンマフラーは、美音を奏でるが、始動のたびに少々大げさな響きを撒き散らしてしまう。

ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)

回生ブレーキの効きは、周囲の状況に応じて変化するため、慣れが必要。これは、ベントレーのハイブリッドに共通することだが。電動アシストが加わった際の加速力は、もう少し一貫性が欲しい。先代のように、よりシンプルでも良いだろう。

それでも、日常的な環境で明らかな不満はなく、動力性能は余裕の塊。実際の計測では、0-100km/h加速を3.7秒、0-161km/h加速を8.4秒でこなしてみせた。特に中域での力強さは圧巻で、豪奢な内装を備えるコンバーチブルとして出色の鋭さといえる。

V8サウンドと相まって極めて刺激的な体験

かさむ車重も影響してか、制動距離は長め。約110km/hから停止までに要した距離は、乾燥したアスファルトで47.8m。濡れた路面では64.2mに伸びていた。

このサイズ感を踏まえると、操縦性は驚くほど機敏。郊外の道を颯爽と駆け抜けられ、ドライバーへ確かな充足感を与えてくれる。アクセルオン時のバランスの良さと頼もしいトラクションは、操る自信も高めてくれる。

ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)

ステアリングは、重み付けが絶妙ながら接地感は若干希薄で、ダイレクトさは先代の方が上だろう。反面、スポーツ・モード時の姿勢制御には唸らされる。旋回時に、後輪操舵がフロントの舵角とシンクロし、安定性を高める制御も評価したい。

ルーフを開けば、壮大なV8サウンドと相まって、極めて刺激的な運転体験を享受できる。乗り心地も、標準のGTCほどではないが素晴らしい。試乗車の22インチではなく、21インチ・ホイールなら、エアサスとの相性はより優れるはず。

タンクのガソリンが尽きるまで運転していたい

コンチネンタルGTC Sが、純粋なドライバーズカーというわけではない。荒れた路面で激しく攻め立てると、フロントとリアの挙動へ僅かな相違が表れる。エアスプリングの硬さも加わり、オープンボディの影響を垣間見せる。

とはいえ、現実的な環境ではクーペと遜色なし。特に高速巡航時の静寂性は素晴らしく、高貴な滑走感と相まって、タンクのガソリンが尽きるまで運転していたくなる。

ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGTC S(英国仕様)

アスファルトが滑らかなアメリカ東海岸や、欧州大陸の道なら、より能力を堪能できるはず。ウィンドディフレクターを立てれば、乱気流も最小限に抑えられる。

燃費は、駆動用バッテリーの充電がゼロの状態でも、普段使いを想定した条件で9.2km/L。1度の満タンで、700km以上走れる計算になる。充電量が充分なら、平均11.2km/Lへ伸びていた。電気だけで走れる距離は、現実的に70km前後と考えていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ベントレー・コンチネンタルGTC Sの前後関係

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