メルセデス AMG C63 S vs BMW M3 vs ヴォグゾールVXR8 GTS

公開 : 2015.07.13 23:50  更新 : 2021.01.30 21:38

その代わりの、溢れんばかりのキャラクターはシェビーV8のアドバンテージのひとつ。M3は、針に糸を通すようなアジャスタビリティと、演出とわかるものの聴き心地の良いサウンドがカリスマ的である。

また、セダンに求める重要な要素として、使い勝手が挙げられるのは言うまでもない。

VXR8の後部座席は、筆者のように長身の大人でも不満はないが、C63やM3に比べると今ひとつ。しかしその分、荷室にはたっぷりとした余裕がある。ここはオーストラリアのメーカーの圧勝である。

ただ、どう足掻いてもドイツ勢に及ばないのは、内装に用いられるマテリアルの質感だ。ドイツ勢を見たあとにVXR8に戻ると、ディスカウント・ストアに売っているトレーニング・ウェアとトレーナーを思い出した。

M3の内装はスマートであり、デザイナーが線を引いたという実感が残る。C63はM3ほどの主張がないながらも、内装材の選択にかなりの時間が注がれたことが伺える。長く付き合っても飽きがこないのは後者の方かも。

乗り心地とハンドリングに関してはM3の独壇場である。コンフォート・モード時の乗り心地は、これをスポーツ・モデルだと気づかせないほど柔和だ。一言でいうならばナチュラル。

C63も同じように優れているが、これに加えて ‘風味’ も携えているのが加点ポイント。M3が卒のない仕事をするのに加えて、C63は味わい深い ‘触感’ をもちあわせ、 “もっと色々なことを試したい” と思えるような冒険心を掻き立てる。

さほど速くない速度から、気ままに車体を振り回すことができたのは実はC63の方だったのだ。もちろんM3も、心ゆくまでスライドできるのだが、それはさらに速い速度域でのことだ。ただ、その際には必死になって舵取りを行う必要があり、これを ‘硬派’ ととるか、あるいはC63を ‘愉快な玩具’ と捉えるかで、選び方が変わってくると感じた。

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