フォルクスワーゲン・カラベル

公開 : 2016.01.30 23:50  更新 : 2017.05.29 18:57

■インテリア

“収納、シート・レイアウトは文句なし。使用する素材もよく吟味されている” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

どのドアを使ってキャビンに乗りこむかによって、インテリアの印象は変わってくるだろう。

まずはフロントから。使用する素材はフォルクスワーゲンらしく徹底的に吟味し、安っぽくみせない努力をしていることがうかがえる。

シートはアップライト、ステアリングまで腕をまっすぐと伸ばす感じ、膝はがんばって折り曲げる感じ。要するにバスに乗っているみたいだ。

ほとんど直立するようなフロント・ウインドウのおかげで見晴らしは極めて良好。左右もよく見える。

運転席には左右にアームレストがつく。ギアレバーはコンソールから生えているため、パッセンジャー・シートまでなめらかに移動できる。

アナログのメーターはとてもクリアで見やすい。ダッシュボード中央のマルチメディア・システムやエアコンの調整ノブなども操作しやすい。

パッセンジャーカーとしての素養があるといえる。

‘SE’ と ‘エグゼクティブ’ のトリムには5.0インチの ‘コンポジション・カラー’ タッチスクリーンは標準。‘ディスカバー・メディア・ナビゲーション・プラス’ をオプションで選べば画面サイズはもっと大きくなる。テスト車には装着済みであった。

ちなみに後者の価格は£1,320(22万円)と、思わず眉をひそめてしまうものの、スマートフォンのワイヤレス接続ができ、アプリケーションのコントロールまで画面上でできる。

ナビゲーション・システムは使いやすく直感的。マップの見た目はクリアで、実際の誘導にもストレスはない。ショートカット・キーの配置も効果的であり、主要な機能に簡単にアクセスできるところがいい。

素材の質感は80点を超え、ピアノ・ブラックとクローム地のトリムが大部分を覆っている。

2つのグローブボックス、蓋つきの小物入れ、中央の小物入れ、引きだし、追加分のストレージ、ドア・ポケットなど、気恥ずかしくなるほど収納が多い。

ちなみにドア・ポケットは上下あわせて2つ設えられている。上のほうは有益であるが、下のポケットは設置位置が下すぎてアクセスしづらい。残念。

カラベルらしさを感じるのは、やはり後部のスライド・ドアを開けた時だ。アームレストが左右についた2列めの2座は回転とスライドが可能。

3列めの3座と向かいあわせる形にすると、あっというまに移動式のミーティング・ルームが完成する。3列めは4本のレールを跨いでいるため前後にスライドできる。

2列めのうち真ん中のストレージを変形させればミーティング・ルームのテーブルとしても使うことができる。エグゼクティブ・スペックならではの特権である。

大きな荷物を飲みこむために、2列めのみを折りたたむこともできる。予想どおり重く、数秒の動作のうちにいろんなプロセスを生まなければならないので大変だが。

3列めのシートを可能なかぎり前にスライドさせ、2列めをホールド。1列め+3列め、という構成にした際の、3列めの足元の広さと頭上の余裕は、(座り心地には差があるが)ちょうどメルセデス・ベンツSクラスのそれと同じ程度。この場合のトランクの前後長はSはクラスよりも当然ながら長く確保されている。

カタログをみると12Vのバッテリー、パーキング・ヒーター、全方向の合わせガラス、ブラインドが標準と書いてある。‘グッド・ナイト・パッケージ’ を選べば、さらに棚が追加され、シートをホールドした状態でベッドのようにできる機能も備わる。

それでもまだ物足りないという向きには ‘カリフォルニア’ というグレードが用意される。キャンピングカーであるこれは、屋根が持ちあがり、そこで眠ることもできるのである。

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