回顧録 日産GT-R vs ポルシェ911 vs アウディR8 後編

公開 : 2018.04.21 11:10

エンジン、ステアリングはR8が優位

その一方で、いつもは911ならではの美点で、ライバルとの差別化となっていたエンジンのサウンドは、リファインという名のもとにほとんど消されてしまい、そのバトンはR8に手渡された。

R8の4.2ℓV8のサウンドはどの回転域でも911よりはるかに魅惑的で、そして音量も勇ましかった。このカレラSがいかにも911らしいサウンドを奏でるのは高回転域でフルスロットルにしたときだけで、そしてそのときのエグゾーストサウンドも、加速とともに増してくるタイヤノイズの音量に、ともすれば紛れてしまいがちである。

それよりも困ったのは、今回の個体の911はさまざまな理由から、われわれが期待したほどハンドリングが甘美ではなかったことである。また、さらに重大なのは、今回のウェールズ山岳地帯のワインディングロードを、R8と対等にこなし切ることができなかったという事実だ。

ターンインの際に発生するボディロールがあまりに大きく、その点をわれわれ全員が好きになれなかった。グリップと安定性のレベルにはほぼ文句の付けようがなかったものの、R8のほうが走りが流麗で、そして全体的なバランスも優れていたことには疑問の余地がない。

5人のテスター全員がR8のステアリングのほうを推奨しており、それは限界直前では911ほどフィールにダイレクト感もしくは一体感がないことを差し引いても変わらなかった。

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