スーパーカー3台対決 911 GT2 vs 430スクーデリア vs ガヤルドLP560-4 回顧録 前編

公開 : 2018.04.28 08:10

すべてが絶妙なスクーデリア

第1日目 PM7:00/ベルク・シュル・メール

乗ってしばらくのあいだ、わたしには430スクーデリアの素晴らしさがわからなかった(このクルマのステアリングを握るのはこれが初めてだ)。だが、2〜3時間ほど走らせると、その魅力が理解できてきた。

ステアリングの鋭さ、高速コーナーでのシャシーバランスのよさ、パドル式ギアボックスのシフトの素早さ、そしてエンジン回転が4500rpmを超えてからの速さなどである。

430スクーデリアは、初めのうちはその群を抜く価格や凄まじいスピードにドライバーがたじろいでしまい、冷静な評価ができない類のクルマだ。

だが、乗れば乗るほど、そのダイナミクス能力の高さとエンジニアリングの緻密さが理解できるようになる。乗り味からギアチェンジのなめらかさ、ステアリングの正確さにいたるまで、すべてがまさに絶妙なレスポンスを示し、まるで自分専用に設計され作られているかのように感じられてくる。

すべてが自分の要求に合わせてテーラーメイドされたような感覚があるのだ。

ドライビングポジションひとつとってもそうだ。バケットシートとステアリングホイールはあらゆる方向に調整可能で、ややオフセット気味のペダル配置を別にすれば、ドライビングポジションはほぼ100%完璧にできる。

そして、ひとたびポジションが決まれば身体にしっくりと馴染み、カーペットさえないその室内も居心地のいい空間に変わる。そこから先は、もう二度とコクピットから出たくない心境になってしまうほどだ。

後編へつづく

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