ゲームチェンジャー賞 自動車社会を一歩先に進めた5台+1社 AUTOCARアワード2018

公開 : 2018.05.27 10:10  更新 : 2021.03.05 21:37

ヒュンダイi30N

ホットハッチ市場に参入

自動車産業において新たなセグメントに割って入ることはとても困難だ。ホットハッチのような、人気で競争の激しいセグメントであればなおさらである。にもかかわらず、ヒュンダイはそんな偉業を達成した。新設されたNと呼ばれる高性能車部門が手を加えたi30のことだ。

i30Nはとてもインパクトのあるクルマであり、本誌の評価ではフォード・フォーカスSTやプジョー308GTiといった既存のライバルよりも上である。高価な四輪駆動のメカニズムを持たない限り、どんなライバルにも対抗できる走行性能やスペックを持っていることが第一の理由だ。

さらに、エンジン、ダンパー、ステアリング、LSD、スタビリティ・コントロール、エグゾーストなどのセッティングがすべてカスタマイズ可能なのだ。それもライバルたち、例えば素のVWゴルフGTiを下回る価格なのである。こんな素晴らしい性能、アイデア、使いやすさがお手頃な価格で手に入ることが、i30Nをゲームチェンジャーたらしめる理由なのだ。

何か特別なことが起ころうとしていた兆候はあった。ヒュンダイは技術の才能に多額の投資を行い、特にBMW Mのエンジニアリングを指揮したアルバート・ビーアマンをプロジェクト・リーダーとして迎え入れた。このクルマの至るところに彼の手が入っている。ステアリングはしっかりした適度な重さで、Nモードでは好みのセッティングをワンプッシュで呼び出すことができる。

さらに電子制御装置は完全にオフにすることができるといった具合だ。このクルマのちょっと変わった狙いを象徴している。ヒュンダイはここ数年WRCに出場し、かなりの成果を収めている。このクルマは知らないひとには驚きかも知れないが、実際には然るべくして現れたのである。

i30Nは欠点もあるクルマだ。キャビンは暗く平板で、英国の道ではダンパーは洗練に欠け、ターボエンジンにはもっとリニアな感覚が欲しい。しかし、このクルマは眠っているように見える巨人が手掛けた、肥大したホットハッチにおける勇敢で魅力的な最初の試みなのだ。

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