回顧録 1シリーズMクーペ vs ケイマンR 全く異なるキャラクター

公開 : 2019.01.26 07:10

比較対象はケイマンR

時間はかかったが、その日がやってきた。もしもこの1Mクーペが言い訳無しのクルマでなかったら、M部門が進むべき道を見失ったと批判しても構わない。しかしうれしいことに、そんな懸念は無用だ。

ピュアなMモデルファンは、3ℓツインターボについて「ターボエンジンはMカーに相応しくない」と評するかもしれない。135iをベースにM3のパーツを組み込んだだけのクルマだと思う人もいるだろう。これはひどい誤解だ。しかし決定的なことは、1Mクーペがあり余るほどのパワーでドライバーを興奮に誘い、とくにウェット路面ではそれなりのドライビングスキルを要求するということである。

ハンドリングも乗り心地も、そこに漂うのは野生の本性だ。多くの人の好みに合うようなものではない。快適さとコントロールの難しさ、実用性と興奮、スリルと危うさ…1Mクーペが見せる世にも稀なバランスは、このクルマがターゲットとする人たちがまさに待ち望んできたものだろう。そうだとすれば、もう脇目をふる必要はない。

1シリーズMクーペは妥協ないドライバーのためのクルマであり、しかし同時に、望めばいつでも洗練された快適なクルーザーに変身してもくれる。では、このことがどれほど素晴らしいのか? 比較対象としてポルシェケイマンRを用意した。

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