ロードテスト フォード・フォーカス ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.03.02 11:50  更新 : 2019.03.12 14:36

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★★★★☆

ライバル各社は、よりベーシックなトーションビーム仕様であっても、このクラスのベストハンドリングカーの称号をフォーカスがほしいままにするのではないかと、戦々恐々だろう。STラインの独立懸架リアサスペンションと、今回の3モード・アダプティブダンパーとの組み合わせなら、4代目フォーカスに望みうるもっとも洗練された運動性を示すはずで、たしかにそう感じられた。

乗り心地は張り詰めていながらもしなやかで、矢継ぎ早な路面からの入力を和らげてくれる制御ぶりはみごとだ。サスペンションの動きを十分に追い、バンプストッパーを存分に活用するには、ほどほどスポーティなのとは一線を画するレベルで走らせなければならない。その境地に達するまで、垂直方向の動きは客観的に感じられるだけだ。フォルクスワーゲン・ゴルフのようなよりリラックスしたクルマから乗り換えると、このスポーティなシャシーの足回りは、A級道路やB級道路の路面をややダイレクトに伝えてくるように思うかもしれない。しかし、オートカー読者諸兄なら、この優れたバランスがウケてきたのだ。

先代モデルではそわつきがちなサスペンションや不安定なダンピングに失望したところもあった。そのあとで経験する新型フォーカスは、1998年に登場した初代の輝きへ大いに近づいたと思える。ただし、初代ほどコミュニケーション豊かなステアリングは備えていないが。

それほどすばらしいチューニングでも、そこまで使い切れないオーナーが多数派だろうが、彼らでも、ダンパーをもっともゆるいモードにして高速道路を流せば、いかに滑らかな走りをするか、それに気づかないはずはない。とはいえ、一部の人間を心から満足させる運動性に満ちているのが、この新しいフォーカスだ。

よりホイールベースの長いクルマのようなコーナーでのスタビリティや、快適な走破性ほど明らかではないが、このクラスにはほぼ類のないほど走りを楽しめる。ブレーキを残してコーナーへ入ると、驚くほど優雅に旋回する。ヨーを収束させる電子制御アシストはやや効きすぎだが、ステアリングはクイックで正確だ。より穏やかに方向転換を図ると、これも十二分に爽快感を味わえる。フォーカスは、まさに操舵を楽しむクルマなのだ。

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