フェラーリSF90ストラダーレとは 初のPHEV、詳細解説 サイズ/スペックは?

公開 : 2019.10.09 06:50  更新 : 2021.10.11 09:25

サスペンション

サスペンションは公式な発表はないが、構造説明用の動画を見るとフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式と8気筒ミドシップ・モデルでおなじみのタイプが踏襲されている。

ブレーキはフェラーリの定番となったカーボン・セラミック・マテリアル(CCM)製のローターで、フロントは398mm径、リアは360mm径が組まれる。

フェラーリSF90ストラダーレ
フェラーリSF90ストラダーレ

1000psのパワーに対応するため、冷却風をローターとパッドに導く新型のブレーキ・キャリパーがブレンボと共同開発され、前輪にロードカーとして初採用されたことも見逃せない。

パワートレイン

ミドに搭載されるV型8気筒ターボ・エンジンは、エンジン・オブ・ザ・イヤーを4年連続で獲得したF154型を進化させたものを搭載。リッター当たり出力195psを実現するために、ボアを88.0mmに拡大。総排気量は3902ccから3990ccへと増大している。

あわせて吸気バルブを拡大するとともにバルブ狭み角をタイトにした新型シリンダーヘッドを採用。マニフォールドは吸排気側ともシリンダーヘッドの高さに揃えて流気の効率化が図られた。

フェラーリSF90ストラダーレ
フェラーリSF90ストラダーレ

インジェクターはセンターに配置され、フェラーリV8モデルとして初となる350バールもの高圧で噴射される。

こうして最高出力はフェラーリ8気筒モデルのトップとなる780psを発揮し、ラ フェラーリの800psに迫る。この8気筒ユニットに8速オイルバス・デュアル・クラッチ・トランスミッションが組み合わせられる。後退時はフロントの電動モーターで駆動するため、リバース・ギアがなくなったことから、ギアボックスの軽量化と合わせて10kgもシェイプアップされた。

またクラッチにも改良の手が加えられ、最大許容トルクは122.37kg-mと大容量化され、さらに新たな油圧コントロール・システムの採用により、変速時間は488ピスタの300ミリ秒から200ミリ秒まで短縮されている。

ハイブリッド・システム

PHEVのSF90ストラダーレは内燃エンジンと3基の電動モーターを統合して駆動される。システムはリチウム・イオン・バッテリーからすべてのモーターに電力を供給。

電動モーターの1基は、エンジンとギアボックスの間に組み込まれ後輪を駆動。残る2基はフロントに搭載して左右の前輪を駆動することにより、フェラーリのミドシップ・モデルとして初の4WDとなり、強力なパワーを確実に路面に伝えることに成功した。

フェラーリSF90ストラダーレ
フェラーリSF90ストラダーレ

また加速時に最大限の性能を発揮させるために、フロントの電動モーターはローンチ・モードと統合される。

ハイブリッド・システムの走行モードは、ステアリング左下に設けられたスイッチを選択することにより、状況に合わせてセレクトできる。

eドライブ:eD

完全電動のモードで2基の前輪モーターのみで最高速度 135km/h、25kmの距離を走行ができるので、住宅地で早朝深夜のガレージ出し入れ時に重宝しよう。

ハイブリッド:H

標準モード。内燃エンジンが稼働時は最高出力でドライブできる。

パフォーマンス:チェッカーフラッグ・ロゴ

内燃エンジン主体でバッテリーの充電が優先されるが、必要であれば瞬時にフルパワーも可能。

クオリファイ:ストップウォッチ・ロゴ

システム全体の最高出力が発揮できるモードで、電動モーターはポテンシャルを最大化し、バッテリーの充電よりもパフォーマンスを優先させる。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

解説の人気画像