スクラップとして消えていく希少・奇妙なクラシックカー 40選(前編) ジャンクヤード探訪

公開 : 2025.05.11 18:25

米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、環境面や税金面で厳しい状況に置かれながらも、なんとかこの世界に留まり続けている興味深いクラシックカーを紹介します。

厳しい状況に置かれる廃車たち

数年前に米ワシントン州バンクーバーにあるジャンクヤード『オール・アメリカン・クラシック(All American Classics)』を訪れたとき、ちょうど事業規模を縮小したところだった。

これは、増え続ける固定資産税に対処するために必要な措置だと聞いた。土地の半分を売却するという難しい決断を下し、その過程で1200台のクラシックカーを処分したという。

とても希少な車両の中から、特に興味を引いた40台を抜粋する。
とても希少な車両の中から、特に興味を引いた40台を抜粋する。

しかし、同ヤードのオーナーは何を残し、何を捨てるかを慎重に検討し、結果として1930年代から2000年代までの極めて希少な車両1000台以上を残すことにした。わたし達取材班が写真撮影を楽しんだように、皆さんもこのクラシックカーのコレクションを楽しんでいただければ幸いだ。

オールズモビル・カトラス – 1960年

事業規模は以前より縮小したものの、このジャンクヤードでは1日に2台のペースで車両が購入されていた。レストア用としてすぐに売却される車両もあるが、その大半は部品取り用として購入されるため、何十年もヤードに保管されることになる。スペースが限られているため、新しい車両が入ってくると、古い車両は処分されてしまう。まさにそれが、この1960年製のオールズモビル・カトラスの身に起こっていたことだ。この個体は、『ベルタ』というニックネームがついた破砕機にちょうど送り込まれるところだった。

フォークリフトの運転手は、このクルマはひどく腐食しており、再利用可能な部品はほとんど残っていないと説明した。「次にカメラマンが来たときのために小道具としてここに置いておくのは、悪いけどできないよ」と彼は言った。

オールズモビル・カトラス - 1960年
オールズモビル・カトラス – 1960年

シボレーカマロ – 1983年

このヤードには、1967年から2017年までの120台以上のシボレー・カマロの部品取り用車両が保管されている。その中に、6年間保管されていた1982年製のこの車両もあった。

このヤードでは、客が自分で部品を取り外すことができるが、取材班が訪問した際、スタッフは、上着の中に部品を隠して持ち出そうとする窃盗犯が多いと教えてくれた。

シボレー・カマロ - 1983年
シボレー・カマロ – 1983年

フォード・フェアレーン500スカイライナー – 1959年

こ1959年製フェアレーン500スカイライナーは、ハイドアウェイ・ハードトップ(Hide-Away Hardtop)という格納式ルーフを装備し、2010年からオール・アメリカン・クラシックに保管されている。スカイライナーは、1938年のプジョー402エクリプス・デカポタブルに次いで、世界で2番目にリトラクタブル・ハードトップを搭載した量産車だ。驚くべきことに、このヤードには同年に製造された1万3000台のスカイライナーのうち2台が保管されている。

フォード・フェアレーン500スカイライナー - 1959年
フォード・フェアレーン500スカイライナー – 1959年

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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