【16台が出品】ポルシェの動向は? RMサザビ―ズ・アメリアアイランド・オークション解説

公開 : 2020.03.19 06:10  更新 : 2021.10.11 09:31

北米のオークションに、ポルシェが16台登場。ベルギーのディテレン社が手掛けた珍しい356を中心に、競売の動向をレポートします。

高値安定 356シリーズ

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:RMSotherby’s

北米で開催されたRMサザビ―ズ・アメリアアイランド・オークションには、定番人気車のポルシェが、356から991まで16台用意された。

全般的に値下がり傾向になっている中、356シリーズは高値安定で、スピードスターは3000万円オーバーで落ち着いている。

増産による生産能力の不足を解消すべく、ベルギーのディテレン社がボディを手掛けた。
増産による生産能力の不足を解消すべく、ベルギーのディテレン社がボディを手掛けた。

こうした状況にあって356の中で注目を集めているのが、ベルギーのコーチビルダーでありフォルクスワーゲンのディーラーだったディテレン社が手掛けた356だ。

356シリーズのボディは通常ドイツのグミュントやロイター、カルマン、ドラウツが担当していたが、増産でキャパシティが不足したため起用されたのがベルギーのディテレン社だった。

同社は1805年に創業し、20世紀に入ると自動車を製造するが、やがて各メーカーから依頼されアッセンブルとコーチビルディングを主とする。

わずか248台

このディテレン社が製作したT6ボディのポルシェ356Bロードスターは、248台のみという希少性と、スピードスターのポジションを受け継ぐロードスター人気と相まってコレクターズアイテムとなっている。

ちなみに「ツイングリル」はT6から採用されたもので、T5ロードスターのシングルグリルと区別するため表現される。

1962年ポルシェ356B 1600 Sツイングリル・ロードスター・ディテレン(2968万円)
1962年ポルシェ356B 1600 Sツイングリル・ロードスター・ディテレン(2968万円)

近年世界的に注目を集めており、昨年夏のグッディング・ペブルビーチ・オークションではコンディションの良さと場所柄か61万ドル(6527万円)という超高額を記録している。

今回のRMサザビ―ズ・アメリアアイランド・オークションでは、適正な額といえる2968万円まで値を上げ、人気のスピードスターに迫った。

911系の動向は?

911系は全般的に値を下げているが、アメリアアイランドでは平均よりやや高く落札されている。

注目したいのは値下がり傾向にある911の中で、964カレラRSは高値をキープしたままであること。

2019年ポルシェ991 GT2 RSクラブスポーツ(5592万円)
2019年ポルシェ991 GT2 RSクラブスポーツ(5592万円)

また、新たな流れとしては、近年の991GT2の限定モデルが注目されている。

プレミアムモデルではグループBカーの959コンフォートが1億1130万円という高額で落札。走行が9315kmと少なく、新車でカリフォルニアに上陸した正規車であることが評価されたようだ。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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