【詳細データテスト】 フォード・クーガ モーター制御に経験不足が明らか スポーツサスの乗り心地にも不満あり

公開 : 2020.07.04 11:50

内装 ★★★★★★★☆☆☆

外観にはどことなく、世界でも屈指のスタイリッシュなクルマを生み出し続けてきたブランドのデザインに似たところがあった。内装もさぞやすばらしかろう、とドアを開けたとたん、そんな幻想は打ち砕かれた。

モノクロなマテリアルや、誰が見てもわかるほど単純な基本設計は、目にしてすぐに失望させられるというものでもない。また立ち気味のドライビングポジションでサポート性に優れたSTライン仕様のスポーツシートは、高さはあるものの路面から離れすぎない絶妙なバランスの着座位置だ。

外観から期待したほどの質感は見出せないインテリア。しかし、後席の150mmスライド機構もあり、居住スペースの広さは十分確保されている。
外観から期待したほどの質感は見出せないインテリア。しかし、後席の150mmスライド機構もあり、居住スペースの広さは十分確保されている。

ところが、近くに寄って観察すると、安っぽいプラスティックの表面はザラザラなテクスチャーで、角が切りっぱなしのように尖っているところもある。

たとえばドアトリムの上部は、前席側がソフトなタッチの合成皮革で覆われているものの、後席側は同じデザインでありながら弾力のないプラスティックとなっている。

マツダプジョーの競合車なら、もっと暖かな雰囲気で、目を楽しませてくれて、快適に過ごせる空間を提供してくれる。その点、クーガの尺度は、より登場年次の古いキャシュカイなどに近いものだ。

とはいえ、トランスミッショントンネルを覆うブラシ仕上げなど、おもしろいテクスチャーのプラスティックも使われている。また、今回取り上げた中間グレードのSTラインでは、手に触れる箇所がなかなかのクオリティだ。

乗員の快適性や広さという点では、それほど悪くない。Aピラーは太いが、キャビンは開放感があり、どこに座ってもヘッドルームとレッグルームが十分にある。とくに後席は、150mmの前後スライドのおかげでゆったりと過ごせる。ただし、あまり足元の広さを求めると、荷室容量が削られてしまうのだが。

そうでなくても、プラグインハイブリッド化で荷室は狭まっている。後席をもっとも前までスライドさせた状態では、645Lの非ハイブリッド車に対し581Lだ。ただし、フロアから開口部の幅広いリップまでフラッシュサーフェスになっているので、荷物の出し入れはしやすい。

それ以外の収納スペースも、スコダ・コディアックほど豊富に用意されているわけではないが、まずまず悪くない。大きなドアポケットは便利だが、それ以外にもキーや携帯電話などの小物を置くスペースは多い。

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