【メーカーの思惑は?】リース料金3年1044万円 レベル3「レジェンド」の損得勘定

公開 : 2021.03.31 05:45  更新 : 2021.10.22 10:12

レベル3のホンダ・レジェンドのリース料金は、機能を考慮しても割高感が……。「価格」というテーマで考えます。

機能は運転支援の延長線上

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

最近は運転支援機能や自動運転の話題が多い。

この中でもとくに注目される新技術が、ホンダ・レジェンドに採用されたホンダ・センシング・エリートだ。

ホンダ・レジェンド(ホンダ・センシング・エリート搭載車)
ホンダ・レジェンド(ホンダ・センシング・エリート搭載車)    ホンダ

ホンダ・センシングの発展型で、高速道路上ではハンズオフ(手放し)の運転支援機能を作動させられる。ドライバーはステアリングホイールから手を放し、ペダル操作も車両に任せて、定速走行を続けられる。

そして速度が下がる渋滞時には、条件付き自動運転機能のトラフィックジャムパイロットを作動させられる。30km/hで作動を開始して、その後に速度が50km/hに達するまでは、自動運転レベル3の運行をおこなえる。

従来の自動運転レベル1とレベル2は運転支援機能だから、制御の監視はドライバーがおこなう。レジェンドのホンダ・センシング・エリートでも、高速域で作動するハンズオフの運転支援機能はレベル2に該当する。

しかし、50km/h以下で作動するトラフィックジャムパイロットは、レベル3だから制御の監視はシステムがおこなう。ドライバーは前方を注視しなくても良い。

ただしホンダでは、前述のレベル分けを自動運転ではなく「運転自動化レベル」と説明する。自動運転に向けた過程の1つという意味で、レベル2と連続性を持たせている。

ホンダにあらためてたずねると「トラフィックジャムパイロットは条件付きの自動運転(限定領域)と定義されるから、ドライバーはシステムからの操作要求を認知して、確実に操作する必要がある。ドライバーが何もしなくて良いという意味ではない」としている。

したがってトラフィックジャムパイロットが作動している時でも、スマートフォンやパソコンをチェックするのは避けたい。

システムからの操作要求があった時、これを認知できない心配が伴うからだ。TVやDVDを視聴するとしても、車載のモニター画面に限られる。

車載モニターであれば、トラフィックジャムパイロットを解除する時には予め画面に表示され、ドライバーが運転に移れるように注意を促す。

以上のように渋滞時でも完全な自動運転ではないため、価格の損得勘定も、この機能を踏まえたうえで判断する必要がある。

スカイラインと比較すると割高感?

ホンダ・センシング・エリート装着車は、レジェンド・ハイブリッドEXホンダ・センシング・エリートと呼ばれる。

価格は1100万円だから、ホンダ・センシング・エリートを装着しないレジェンド・ハイブリッドEXに比べて375万1000円高い。

日産スカイライン
日産スカイライン    日産

ホンダ・センシング・エリートで加わる装備には、ハイブリッドEXが装着しない12.3インチ・フル液晶グラフィックメーターなどもあるが、基本的にはトラフィックジャムパイロットとハンズオフ関連の機能だ。

したがってホンダ・センシング・エリートの価格が375万1000円と考えて良い。

以前から販売されている車種の機能で、ホンダ・センシング・エリートに最も近いのは、スカイライン・ハイブリッドが搭載するプロパイロット2.0になる。

プロパイロット2.0は、自動運転に該当するレベル3ではなく運転支援機能のレベル2だが、高速道路におけるハンズオフ走行は可能だ。実用性はホンダ・センシング・エリートに近い。

プロパイロット2.0の価格は、ドライバーモニターやヘッドアップディスプレイを含めて約50万円と換算される。

レジェンドのホンダ・センシング・エリートは、車線変更までハンズオフでおこなえてトラフィックジャムパイロットの機能も加わるが、価格の上乗せは前述の375万1000円に達する。

ちなみにスカイラインのプロパイロット2.0が50万円なら、ホンダ・センシング・エリートの価格は、多く見積っても100万円だ。375万1000円の上乗せは高すぎる。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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