【先見の明】初代ホンダ・ヴェゼルの功績 クーペ風/コンパクトSUV 世界を先取り

公開 : 2021.04.22 17:05  更新 : 2021.04.22 17:43

世界のメーカーがしのぎを削るBセグSUV市場は、初代ヴェゼルによって確立したといえます。初代の功績を振り返ります。

「SUVは大柄が良い」を打ち破る

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

ホンダのコンパクトSUVであるヴェゼルの初代モデルが発売開始となったのは2013年12月のことであった。

しかし、筆者(モータージャーナリスト:鈴木ケンイチ)は、そのわずか前となる11月に現車に初対面している。それは東京モーターショーだ。

ホンダ・ヴェゼル(初代)
ホンダ・ヴェゼル(初代)    ホンダ

個人的な話になって恐縮だが、この年の東京モーターショーで筆者は、ガイドツアーの案内役を務めていた。そこで案内していた来場者の方が、新型ヴェゼルに対して「こういうクルマが欲しかったんですよ」といっていたのだ。

その年のホンダは、NSXコンセプトやS660コンセプトも発表しており、そうしたスポーツカーを横にヴェゼルを絶賛する人に「こうした小さいSUVのニーズもあるのか! 」と、驚いた記憶がある。

今となっては、筆者の見識不足といえるが、2010年代前半は、今ほどコンパクトSUVが売れていなかったのだ。

小さなSUVとして、日産からジュークが発売されていたがヒットとはほど遠い状況であった。SUV自体の人気が低迷していたし、1980~90年代のRVブームを知る人間としては、「RVは大きなモデルほど格好良い」との思いもあった。

小さなジムニーも存在していたが、あれは特殊な実用車で、日常的に使うモノとは考えにくかったのだ。

SUVクーペを先取りしたデザイン

そこに登場したのがヴェゼルだ。

センタータンクレイアウトという、Bセグメントのフィットと同じプラットフォームを使った小さなSUVだ。

ホンダ・ヴェゼル(初代)
ホンダ・ヴェゼル(初代)

とはいえ上屋のデザインはクーペ風になっており、今でいうSUVクーペを先取りしていたのだ。

ちなみに、東京モーターショーのはるか前、2013年1月にデトロイトで開催された北米国際モーターショーでヴェゼルは、「アーバンSUVコンセプト」として発表されている。

この時点で「2013年末に日本で発売され、順次グローバルに展開。米国では2014年春に稼働予定のメキシコの新工場で生産をおこない、2014年中に発売する予定」

「フィット、シティ、コンパクトSUV(ヴェゼル)の3モデルをグローバル・コンパクト・シリーズとして2016年末には年間150万台以上の販売を計画している」とアナウンスしていたのだ。

今から考えれば、そんなにおかしな話ではないけれど、2013年の時点では、「コンパクトSUVがそんなに売れるの? 」と不思議に思ったものである。

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