【青色の女神】ロールス・ロイスに新部門 カスタムメイドの限界を打ち破る第1弾「ボート・テイル」

公開 : 2021.05.27 21:04  更新 : 2021.10.11 13:56

英ロールス・ロイスが、「コーチビルド部門」を新設。ビスポークを超える作り込みで、特別な顧客のオーダーを叶えます。まずは、「ボート・テイル」をご覧ください。

ロールスのコーチビルドとは

text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
editor:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

5月27日。ロールス・ロイスは、独自のコーチビルドによる新作「ボート・テイル」を発表した。

「ビスポーク」という言葉をご存知の読者諸氏は多いだろう。もともとは服・靴を顧客の注文に応じて仕立て上げることで、そこから高級車メーカーが顧客の要望に応じてカスタムメイドするクルマも「ビスポーク」と呼ばれるようになった。

ロールス・ロイス・ボート・テイル。“極めて特別な3人のカスタマー”と4年間の共同作業により作られたという。
ロールス・ロイス・ボート・テイル。“極めて特別な3人のカスタマー”と4年間の共同作業により作られたという。    ロールス・ロイス

だが、ビスポークには限界がある。

コーチビルドではその限界を打ち破り、自由な表現力を活かし、パトロンである顧客と一緒になってコンセプトを直接カタチにして、生み出していく。

ロールス・ロイスは、非凡な顧客の依頼に応えるため、その歴史的ルーツのひとつに立ち戻り、「ロールス・ロイス・コーチビルド」という独立した部門を立ち上げることにした。

つまり、「コーチビルド」とは、ロールスのビスポークをより高度に精製された表現で実現することであり、既存の制約を超えたいと考える人のためのものだ。

クライアント主導の純粋な特注プログラムに基づき、ロールス・ロイスと顧客が協力して、意味あるラグジュアリー、意味あるデザイン、意味あるカルチャーを探求する。

その結果は、将来の歴史的遺産を生み出す重要な瞬間となり、デザインを進化させることで時代を定義し、単なる移動手段という本来の目的を超える力を持つことになる。

ボート・テイル誕生

全長約5.8mの「ボート・テイル」は、その伸び伸びとしたプロポーションと明快な面構成により、上品にくつろぐ姿勢を表現している。

新たに手を加えられたパンテオン・グリルは、コーチビルドのポートフォリオに含まれるモデルにのみ与えられた自由なデザインとなっており、けっして装飾のためのものではなく、フロントエンドに不可欠な部分となっている。

ロールス・ロイス・ボート・テイルは、共通のボディ・スタイルを持つ3台が製作されることになっており、それぞれに依頼主独自の印がつけられる。
ロールス・ロイス・ボート・テイルは、共通のボディ・スタイルを持つ3台が製作されることになっており、それぞれに依頼主独自の印がつけられる。    ロールス・ロイス

この処理により、ロールス・ロイスの紛れもない存在感を損なうことなく、お馴染みのフォーマルな雰囲気をやわらげている。

また、フロントエンドの水平方向を強調したデザインと、深い位置に配されたデイタイム・ランニングライトは、にらみを利かせるようなボート・テイルのブロウ(眉)ラインをかたちづくりながら、ロールス伝統のデザインを引用したクラシカルな丸型ヘッドランプを縁取っている。

サイドビューには、船舶を連想させるものが多くある。

左右に回り込んだウインドスクリーンはモーターボートのバイザーを連想させ、緩やかに後傾するAピラー、広大ですっきりしたフロントのボリューム、そして後方に向けて細くなるリアエンドは舳先を上げて海上を疾駆するモーターボートの姿を想わせる。

ボディ側面下部の徐々にえぐられていくような造形は、ブランドの代名詞ともいえるランニング・ボードのデザインをもとに考案されたものだ。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事