【在りし日のシーマに通じる】日産ノート・オーラ試乗 加速感/専用装備の投資、判断の分かれ目

公開 : 2021.06.15 11:10  更新 : 2021.10.11 14:49

日産ノート・オーラに試乗しました。中高速域での加速感や専用装備に投資できるかが判断の分かれ目といえます。

上級志向の「オーラ」 シーマに通じる

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

日産登録車ラインナップでマーチキックスの中間に位置するのがノートである。

ちなみにSUVとミニバンを除いたラインナップでノート以上のモデルはシルフィがあるが、実質在庫販売でもあり、乗用系ではノートの上位はスカイラインという構成になってしまう。

日産ノート・オーラ
日産ノート・オーラ    神村 聖

SUVやミニバンが市場を支える基軸となった現在、2BOX/セダンにこだわる必要もないのだが、先代から好調なノートでカバーレンジの拡大を図ろうと考えるのはとても合理的な発想である。

ということで、ノートから上級志向を強化して発展した新型車がノート・オーラである。

イメージ上では先代(E12)に設定されていた「メダリスト」と相通ずるポジションだが、メダリストは一般的にいうグレード展開での上位設定。

オーラはノートをベースに発展したモデルを車両型式からも識ることができる。

強いていうならセド/グロから発展した初代シーマにも似た展開であり、車両分類でもノートは5ナンバー、オーラは3ナンバーになる。

なお、車体寸法は全長、およホイールベースは共通だが、それ以外の基本車体外寸はすべて拡大している。

実用面では最小回転半径が30cm大きくなったのが気になるが、3ナンバーボディを求めるユーザーならそれほど気にする必要はないだろう。

中高速域での加速感 1ランク上

搭載されるパワートレインのハードウェアはFF/4WDともにノートと共通しているが、パワースペックでは最高出力が18%弱、最大トルクが7%強向上。

ちなみにタイヤ直径も含めた総減速比は2%強オーラのほうが高いのだが、それをしても1ランクアップと称するに十分なパワーアップを施している。

日産ノート・オーラ
日産ノート・オーラ    神村 聖

ただ、その恩恵を実感できるのは中高速域での高負荷加速時。

低中速や巡航時でも確実に向上しているのだろうが、ノートが得意とする領域であり、また洗練されたドライバビリティを旨とした加減速制御ゆえに刺激的な反応が抑えられているため、実感としてはほぼ同じなのだ。

パワーの余裕は中高速域での加速を改善に効果大。

テストコースの試乗ということで60km/h巡航から140km/hまで全開加速を試してみたが、はっきりとオーラのアドバンテージが伝わってくる。

とくに80km/h以上でも加速の落ち込みを意識することがなく、140km/h近くまで一気に持っていける。

新型になってノートも高速動力性能を改善しているが、電動の俊足ぶりがさらに高速側に拡がっていた。

動力性能を強化してもドライバビリティなどのコントロール性に悪さしないのは制御特性の妙味であり、高性能と洗練の両立はシリーズ式(純電動駆動)ならではのアドバンテージでもある。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

関連テーマ

おすすめ記事