【F1復帰を記念】アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディションへ試乗 最も積極的に楽しめる

公開 : 2021.07.06 08:25  更新 : 2021.07.12 18:31

F1復帰を果たしたアストン マーティン。それを記念し、ハンドリングを磨き込んだヴァンテージが登場。英国編集部が評価しました。

F1参戦を記念した特別なヴァンテージ

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アストン マーティンのテールに、高くウイングがそびえる。限定カラーが与えられるヴァンテージのトップグレード、F1エディションであることを象徴するように。ちなみに、生産台数の制限はないという。

選択できるボディカラーは、写真のグリーンのほかに、ブラックとホワイトのいずれか。アストン マーティンの最新F1マシンが身にまとうカラーに準じたものだ。

アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)

F1レースでマシンを先導する、ヴァンテージのセーフティカーに似たな見た目を獲得しているだけではない。走りの特性を根本的から改める、奥深い変化も与えられている。

本来ヴァンテージとは、アストン マーティンのいくつかあるモデルの中で、最もアグレッシブであるべき存在。高いレベルにあるDBSスーパーレッジェーラDB11 AMR以上に。

そこでアストン マーティンの新CEO、トビアス・ムアースはエンジニアリング面で具体的な達成目標を設定した。エンジンのパワーを追加するだけではなく、ニュルブルクリンクのラップタイムを、これまでのヴァンテージより15秒縮めるという課題だ。

一般道で酷い乗り心地にすることなく、その目標をクリアすることは、エンジニアにとってかなりの難題だったはず。しかし近年のアストン マーティンには、かなり優秀なスタッフと技術力が存在している。

一般道も許容するしなやかなサスペンション

F1エディションの変更か所は細かい部分が多いが、多岐に渡る。ステアリングのレスポンスを鋭くするため、シャシーのフロント周りは剛性が高められている。同時にアダプティブダンパーは、可変範囲が拡張されている。

トラクションを向上させるため、リアのスプリングレートをアップし、同時に横方向の剛性が強化された。ホイールサイズは直径が1インチ大きくなり、21インチに。フロントに255/35、リアに295/30という扁平タイヤが組まれる。

アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション(英国仕様)

リアウイングだけでなく、フロントに追加されたチンスポイラーなど、エアロダイナミクスも全面的に手直ししてある。その結果、最高速度域で200kgのダウンフォースを上乗せしている。いずれも、パフォーマンスの向上につながる内容といえる。

ラップタイムを狙うために仕立てられたクルマへは、筆者はあまり共感できないことがある。だが、このクルマは別。確かにF1エディションは、通常のヴァンテージより少し硬い。しかし、柔軟性も残されている。

最もソフトなドライビングモードを選択すれば、英国郊外の傷んだ舗装路でも問題なく対応可能。トラック・モードはその名の通りサーキットがベスト。その中間にあるモードでも、状態の良い一般道を受け入れてくれる。

モードに関係なく、姿勢制御は見事。ステアリングは鋭く、多くの手応えも得られる。ポルシェ911 GT3ほど、フォーカスの決まった完璧な感じは受けないものの、確実にヴァンテージの水準が上昇している。

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