【ボンドカー・レプリカに撃たれる】ロータス・エスプリ S1とエスプリ・ターボ 前編

公開 : 2021.10.09 07:05  更新 : 2021.10.11 17:47

子供の頃に夢見たボンドカー。1人の英国人が手掛けた、ロータス・エスプリをベースにした精巧なレプリカ2台をご紹介します。

私を愛したスパイのロータス・エスプリ

執筆:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
撮影:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
映画007のボンドカーと聞いて、アストン マーティンDB5を思い浮かべる人も多いはず。だが、ジェームズ・ボンドをロジャー・ムーアが演じた頃の、ロータス・エスプリ・シリーズ1を懐かしむクルマ好きもいるだろう。

1970年代の英国製スポーツカーを代表する存在といえる、ロータス・エスプリ。007ではボンドカーとして特殊装備を満載し、羨望の眼差しを集めることとなった。

ホワイトのロータス・エスプリ・シリーズ1「私を愛したスパイ」ボンドカー・レプリカと、カッパー・メタリックのエスプリ・ターボ「ユア・アイズ・オンリー」ボンドカー・レプリカ
ホワイトのロータス・エスプリ・シリーズ1「私を愛したスパイ」ボンドカー・レプリカと、カッパー・メタリックのエスプリ・ターボ「ユア・アイズ・オンリー」ボンドカー・レプリカ

テスラ社のCEOを務める、イーロン・マスク氏もファンの1人。実際、劇中でエスプリが変形した潜水艦、ウェットネリーを2013年に購入している。

航空会社に務めるファビアン・スティール氏も、幼い頃から007の大ファンだったという。「1977年の夏に、007の『私を愛したスパイ』を友人と観に行きました。当時10歳でしたが、小さなエスプリのことが信じられませんでした」

ファビアンが子どもの頃を振り返る。「しばらくして、ロンドンのオリンピア展示場を父と訪ねました。そこに、エスプリがあったんです。こんなモノ、今まで一度も手にしたことがない、と感じたのを覚えています」

強い印象を残したエスプリだったが、夢を現実のものとする機会が2012年にやってくる。レストアに挫折した、1978年式エスプリとの出会いだった。

シリーズ1のエスプリは、バックボーン・シャシーが顕な状態。ボディパネルはわずかに残るだけで、数個の段ボール箱に部品が保管されていた。「ボディシェルは塗装業者にあり、確認できませんでした。でも、わたしが買わなくては、と思ったんです」

世界で最も精巧なレプリカを目指す

エスプリの再生を決心したファビアンは、作業用ガレージをロンドン南部の自宅に建設。クルマで何度か売り手を訪ね、多くの部品を持ち帰り、さらにシャシーとボディも手元に揃えた。

「ヘインズ社が発行するカーリペア・マニュアルを購入。組み立てていけば大丈夫だと考えていました」。ファビアンが笑いながら話す。「ガレージは足の踏み場もないほど、部品が点在。天井の梁にも」

ロータス・エスプリ・シリーズ1(1978年/英国仕様)「私を愛したスパイ」ボンドカー・レプリカ
ロータス・エスプリ・シリーズ1(1978年/英国仕様)「私を愛したスパイ」ボンドカー・レプリカ

「塗装業者は、部品が組まれた状態でスプレーしていました。バラさずに。そのおかげで、塗装はイチからやり直しです」

塗装以外、ある程度進められていたレストアは納得できる内容にあった。シャシーに載ったエンジンを始動させてみると、ウオーターポンプからのクーラント漏れを除いて、不具合はなさそうに見えた。

「もしエンジンが降ろされた状態なら、20分もあればウオーターポンプの交換は済みます。でも、シャシーに載った状態では悪夢です。切り傷や打ち身は必至。手元が見えず、何を掴んでいるのかすらわかりません。鏡を覗き込んで、なんとか」

ファビアンはレストア当初から、子どもの頃に夢見たボンドカーをオマージュすると決めていた。世界で最も精巧なレプリカを目指していた。

トレードマークといえたウルフレースのホイールは、比較的早い段階で入手できた。映画の中では、空力特性に優れたボディシェイプを強調する目的で黒く塗られていた、フロントスポイラーも。

この記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・マクレマン

    Greg Macleman

  • 撮影

    オルガン・コーダル

    Olgun Kordal

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報部を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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