【EV先進国】電気自動車が売れまくるノルウェー 新車の9割がEVかハイブリッド そのワケとは

公開 : 2021.10.06 20:25  更新 : 2021.10.14 09:05

北欧ノルウェーの2021年上半期の新車販売台数11万台のうち、電動モデルが占める割合は95%に上ります。

世界トップクラスの普及率

執筆:Jim Holder(ジム・ホルダー)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

多くの国々が電気自動車(EV)の普及方法を模索している中で、北欧ノルウェーはトップクラスの電動モデル普及率を誇る。2022年前半には純エンジン車の販売が終了するのではないかと言われるほど、世界有数のEV先進国だ。

石油資源に恵まれ、地理的な条件からクリーンエネルギーのソリューションが豊富(エネルギーの98%を再生可能エネルギーでまかなっている)であることから、ノルウェーはクルマの電動化にも積極的に取り組んでいる。

政府による手厚い支援や、充電ステーションの増設が電動モデル普及を後押ししている。
政府による手厚い支援や、充電ステーションの増設が電動モデル普及を後押ししている。

今年の上半期にノルウェーで登録された11万台の新車のうち、95%がハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、EVを含む電動モデルだった。販売台数上位15車種のうち、14車種がEVで、2位のトヨタRAV4 PHEVが唯一の例外となっている。

ハイブリッド車の最上位は16位のトヨタ・カローラ、非電動の純エンジン車の最上位は28位のフォルクスワーゲンティグアン(ディーゼル車)となっている。純エンジン車はトップ50に3台しか入っていない。

2020年全体では、販売台数に占めるEVおよびPHEVの割合は約75%だった。今年はこの数字がさらに伸びるはずだ。厳しい気候(特にバッテリーの消耗が激しい)で知られ、長距離移動が一般的なノルウェーにおいて、消費者が積極的にEVに乗り換えているのは興味深い事実だ。

その理由とは一体何なのか?答えは、奨励金や補助金などインセンティブを活用した総合的なアプローチにあると思われる。

ノルウェーでEVを購入またはリースすると、購入税、付加価値税(VAT)、自動車税(VED)が軽減される。社用車としてEVを導入する企業にも多額の補助金が支給される。一方、道路通行料や公共駐車場の料金は法律で引き下げられており、バスやタクシー用のレーンを利用することができる。

また、1万6000か所以上の充電ステーションが建設されており、欧州全体の約10%を占めている。なお、ノルウェーの人口は2020年時点で537万人とされている。

しかし、まだ克服すべき課題もある。最も重要なのは、すべての純エンジン車を道路から排除することである。新車の電動モデルの販売には成功しているが、国内の全自動車のうちEVとPHEVは約20%にとどまる。

世界的に見てクルマの平均寿命が約14年であることから、ノルウェーでは今後30年ですべて電動モデルに置き換わると予想されている。

6~8年前のノルウェーでは、現在の英国と同程度の割合で電動モデルが普及していたが、当時の車種の選択肢は今よりはるかに少なく、性能も劣っていた。英国をはじめ欧州各国は純エンジン車の新車販売禁止を目指しているが、ノルウェーに追いつくのはまだまだ先の話だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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