アルファ・ロメオ147 GTA 英国版中古車ガイド 車両の値段はV6エンジンの値段

公開 : 2021.12.07 08:25

名機と名高いNA V6エンジンを搭載したハッチバック。価値が急速に上昇中の147を、英国編集部がご紹介します。

数年で急速に上昇している147 GTAの価値

クルマという工業製品は、不思議な存在だ。生産終了からだいぶ時間の経過した、アルファ・ロメオのハッチバックもその1例だと思う。貨幣価値が変わったとはいえ、英国では11万km以上走った147 GTAが新車時に近い数字で取引されているのだから。

アルファ・ロメオ147 GTAが、モダン・クラシックとして魅力度を高めている証拠といえる。少しばかりの弱点が一緒だとしても。

アルファ・ロメオ147 GTA(2002〜2005年/英国仕様)
アルファ・ロメオ147 GTA(2002〜2005年/英国仕様)

その弱点を生んだ理由は、フロントタイヤだけで250psの高馬力を受け止めているから。147 GTAは明らかなフロントヘビーで、速度が高すぎるとカーブをストレートのように通過した。オプションで選べたリミテッドスリップ・デフ(LSD)で、改善できたが。

高い馬力に対して、明らかにブレーキも頼りなかった。それを受けてか、当初オプションだったアップグレード仕様のディスクブレーキが、後に標準装備となっている。

147 GTAの現在の中古車価格を調べてみると、英国では8000ポンド(約123万円)くらいが下限。状態の良い例では、2倍近くまで上昇する。

ちょっと近年は過熱気味に思えるが、ここ数年間で147 GTAの価値は間違いなく上昇している。2017年なら、4000ポンド前後から購入することができていた。

もちろん、安価な例が8000ポンド(約123万円)に上昇したからといって、信頼性も高くなったわけではない。比較的安心して乗れる147 GTAが欲しいなら、英国では1万2000ポンド(約184万円)前後の価格帯から探した方が無難だろう。

パワフルで甘美に吹け上がる3.2L V6

いい値段の147 GTAを買ったとしても、ある程度のメンテナンスコストは銀行口座に残しておきたい。ランニングコストも手頃とはいえない。フロントタイヤは8000kmも走れば溝がなくなるし、燃費は良くて8.0km/Lくらいだ。

でも好調なら、アルファ・ロメオ147 GTAは心奪われるホットハッチだ。美しいボディのフロントに、3.2L 24バルブの自然吸気V型6気筒エンジンを搭載している。

アルファ・ロメオ147 GTA(2002〜2005年/英国仕様)
アルファ・ロメオ147 GTA(2002〜2005年/英国仕様)

MTの147 GTAの方が価格は高い。アルファ・ロメオ・ファンなら、MTにこだわりたいという人も多いだろう。

セレスピードと呼ばれた、セミ・オートマティック版の方が少し安い傾向がある。英国で流通する走行距離が短く状態の良いセレスピードは、日本から輸入されたものが多い。

V6エンジンのオリジナルは、アルファ・ロメオの技術者、ジュゼッペ・ブッソ氏が1970年代に設計した2.5L仕様へ遡る。彼にちなんで、ファンの間ではブッソV6と呼ばれることも多いユニットだ。

このエンジンは力強いだけでなく、素晴らしい美声とともに、甘美に高回転域まで吹け上がる。ボンネットを開けば、美しく並んだ6本のインテークパイプが姿を見せ、眺めているだけで笑顔になる。その個性から、一目置かれる存在となった。

最高出力は250psで、同世代のアウディS3やフォルクスワーゲン・ゴルフR32をも上回った。だがライバルが四輪駆動だったのに対し、147 GTAは前輪駆動。先に触れた幾つかの弱点が、チャレンジングな道ではドライバーを悩ませた。

危険な問題と呼ぶべきか、スリリングな特色と呼ぶべきか。それは、受け止め方次第かもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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