ポルシェ・タイカン GTSへ試乗 現在のベスト純EV 熱すぎない598psの四輪駆動

公開 : 2021.12.14 08:25

ポルシェの純EV、タイカンのいいとこ取りといえるGTSが登場。英国編集部は、最も訴求力が高いと評価します。

2基の駆動用モーターで598ps

直近の7年間ほど、英国で最も売れているポルシェはSUVのマカンだった。だが、もはや違う。純EVのタイカンがベストセラーとなっている。

税制的なメリットも含めてといえるが、タイカンの魅力の高さを証明している。3年ほど前にタイカンが発表された時、こうなると予想した人はどれほどいただろうか。

ポルシェ・タイカン GTS(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン GTS(欧州仕様)

そんな人気のタイカンに、モデルの訴求力を一層拡大する選択肢として、GTSが登場した。最も速いタイカンではないが、最もスポーティなタイカンというべき仕様で。

GTSとして差別化するべく、フロントバンパーのスポイラーやサイドウインドウのトリム、ヘッドライト・インナーなどをブラックアウト。インテリアは人工皮革のようなレーステックス素材と、アルミニウムで仕立てられている。

見た目だけではない。2基の駆動用モーターは、合計の最高出力が680psではなく598psに制限されているものの、タイカン・ターボと同じユニットを搭載。肝心な最大トルクは、86.3kg-mと同値のままだ。

1つ下のグレードに当たるタイカン 4Sの場合、GTSでは標準装備となるパフォーマンスプラス・バッテリーをオプションで選ぶと、合計の最高出力は571psに設定される。最大トルクは66.1kg-mとなり、小さくない差がある。

その結果、0-100km/h加速は3.7秒と、0.3秒ほどGTSの方が鋭い。4.0秒を切るようなハイエンド・スペックでは、大きな違いといえるだろう。

恐怖を覚えることなく走りへ夢中になれる

ポルシェ・タイカン GTSの英国価格は、10万4190ポンド(約1583万円)から。タイカン 4Sより約2万ポンド(約304万円)高い金額だ。

しかし、アダプティブダンパーにトルクベクタリング機能、スポーツサウンド、パフォーマンスプラス・バッテリーなどが標準装備される。4Sでは、約1万7000ポンド(約258万円)相当のオプションだから、パワー差も含めれば納得できると思う。

ポルシェ・タイカン GTS(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン GTS(欧州仕様)

アルミホイールは専用の20インチが標準で、オプションで21インチが用意される。サスペンション自体のチューニングも、GTS専用となる。

今回、タイカン GTSの試乗を許されたのは、ポルシェが指定したアメリカ・カリフォルニアのウィロースプリングス・サーキットのみだった。しかし、過去に運転したタイカンの経験からして、一般道での乗り心地が滑らかなことは疑いようがない。

ターボやターボS級の、圧倒するような動力性能を備えてはいないものの、筆者はそこまで必要だとは感じなかった。むしろ、タイカン GTSの598psでも充分以上。恐怖を覚えることなく、走りへ夢中になれる。

ステアリングフィールも良い。操縦性には素晴らしくまとまりがあり、落ち着きすら感じる。車重2.3tもある大きなサルーンであることを、忘れさせてくれるほど。タイカン 4Sが純EVのベストだという筆者の考えは、修正する必要がありそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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