アウディA6 詳細データテスト 快適志向 パフォーマンスやハンドリングは無難 静粛性はかなり優秀

公開 : 2022.01.15 20:25  更新 : 2022.02.01 23:56

内装 ★★★★★★★★★☆

下位のA3やA4、Q3やQ5でも、キャビンに不足を感じることはまずないが、それでもA6に乗り込むと、ステップアップした感覚が味わえる。マテリアルの本物感や精密な仕立て、アウディの正統派フルサイズサルーンにみられる明らかにラグジュアリーなオーラに魅了されるだろう。

フロントには、すばらしく彫刻的な見栄えのダッシュボードがそびえ立つ。主要な操作レバーが伸び、トランスミッショントンネルがセンタースタックに接続されているような造形である以外は、まるで金属の塊から削り出したようだ。

金属の塊から削り出したような造形のダッシュボードには、ディスプレイやスイッチ、パネルなどが一体化したようにはめ込まれている。大きなステアリングホイールは、その内側にメーターパネル全体が視認できる。
金属の塊から削り出したような造形のダッシュボードには、ディスプレイやスイッチ、パネルなどが一体化したようにはめ込まれている。大きなステアリングホイールは、その内側にメーターパネル全体が視認できる。    LUC LACEY

曲線的で面取りされた金属のスケルトンに取り囲まれているような空間には、さまざまなタッチパネルや操作コンソールが完璧にはめ込まれている。デザイン的なトリックだが、じつに効果的で、キャビンに驚くほどの完璧さをもたらす。それはハイクオリティな装備類とも矛盾しないものだ。

ドライビングポジションは、トラディッショナルな高級セダンのスタイルだ。テスト車はSラインで、スポーツシートが装着されているが、取り立てて着座位置が低いわけではない。それゆえ、乗降性はよく、セダンの水準からしても良好な視界が確保できる。

ステアリングホイールの径は大きく、ヴァーチャルコックピットと呼ばれるデジタルメーターは、リムの内側から全体を楽に見ることができる。ドアコンソールの収納スペースはたっぷり取られ、センターコンソールのドリンクホルダーふたつも余裕がある。しかし、オプションのワイヤレス充電機の設置場所でもあるアームレスト部の小物入れは浅い。バッグや財布を外から見えないようにしまえるようなスペースが、下に用意されているわけでもない。

収納スペースと違って、2段構造になっているのがタッチ式のディスプレイだ。インフォテインメント系の使い勝手にはやや難があり、いら立つこともある。タッチ式の操作がお気に召さないのであれば、A6はおすすめできない。

そうはいっても、デジタルメーターは間違いなく、長所のひとつに数えられる。表示モードは複数あり、PHEVとしては珍しく、回転計かハイブリッドモードの出力計、もしくはその両方が表示できる。

背の高いドライバーでも、前席の広さには満足できるだろう。その背後にも大人が不満なく乗れるスペースが用意され、4名乗車での長距離ドライブにもぴったりだ。

荷室は床面に迫り上がったところはないもののかなり浅く、容量は360Lしかない。大きなスーツケースなどを積むには狭いが、そうした荷物を積む機会が多いなら、ワゴンを選ぶという手もある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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