マセラティMC20へ試乗 3.0L V6ツインターボで630ps 恋に落ちるほど最高 前編

公開 : 2022.02.05 08:25  更新 : 2022.08.31 18:38

V6ツインターボのMRに、見事な操縦性と快適性を両立させた、新時代のマセラティ・コルセ。英国編集部が評価しました。

マセラティ・コルセ2020

マセラティが復活した。再び。伝統あるイタリアのスポーツカー・ブランドが、新時代を迎えようとしている。間違いなく、夜明けが来たといってイイ。

今回試乗した最新モデルは、Eセグメントの次期高性能サルーンや、大型SUVなどより遥かに興奮を誘う。なにしろ、われわれが大好きなスーパーカーだ。思わず、クーッと唸りたくなる。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

モデル名はMC20。Mはマセラティの頭文字で、Cはコルセ、イタリア語でレーシングを意味する。20は、発表された2020年を意味している。

カーボンファイバー製タブシャシーの中央に内燃エンジンを搭載する、2シーターのミドシップ。タブシャシーの前後からアルミニウム製サブフレームが伸び、アダプティブ・ダンパーを備える、ダブルウイッシュボーン式サスペンションを支持する。

カーボンで覆われた乗員空間の後ろには、ツインターボで加給される3.0L V6ガソリンエンジンが搭載される。トランスミッションは、最新のシボレーコルベットC8と同じく、8速デュアルクラッチ・オートマティックだ。

最高出力は630ps/7500rpm。最大トルクは74.2kg-m/3000-5500rpmを発揮する。

このまま動力性能を確認していくと、0-100km/h加速は2.9秒、最高速度は325km/hをマークする。カタログ上の車重は1500kgを切るという。スペックシートには、良い数字が並んでいる。

ちなみにMC20のドライビング体験には、開発時の裏話にまつわる、ある印象もなくはない。これは追ってご紹介しよう。

左足ブレーキへ自然に落ち着くレイアウト

大きく斜め上方へ開くガルウイングドアを避けて、車内へ身体を滑らせる。開口部は大きく、サイドシルは充分に細い。乗り降りはとても簡単だ。

タイトな2脚のシートは、車両中央側に寄せてレイアウトされている。それでも右ハンドルの場合、2枚のペダルはさらに中央側にオフセットしている。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

AUTOCARでは、既に2021年に左ハンドル車へ試乗しているが、その時はペダルレイアウトが気にならなかった。ホイールアーチが運転席側に張り出している影響で、左側に寄っているのだろう。

足を伸ばすと自然に左足でブレーキ、右足でアクセルを踏む体勢に落ち着く。レーシング・カートのようで悪くない。ライバルモデルを挙げるなら、マクラーレンが最も近いと思うが、このレイアウトは他に例がないのではないだろうか。

インテリアは上質で好印象。ダッシュボードやドアパネルなどは、水色の糸でステッチがあしらわれている。レザーはソフトで、アルカンターラがスポーティさを引き立てる。カーボンファイバーが、全体を引き締める。

シートのヘッドレストには、マセラティのロゴ、トライデントの刺繍。ダッシュボードの端には、赤白緑のイタリアン・トリコロール。フェラーリF8 トリブートほどの華やかさはないものの、上品にコーディネートされている。

車内空間は充分広く、身長の高いドライバーも問題なく過ごせる。ステアリングホイールはほぼ円形。ステアリングコラムまわりはアルファ・ロメオと共有するらしく、大きなシフトパドルがコラム側に固定されている。筆者には問題ないが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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