マセラティMC20へ試乗 3.0L V6ツインターボで630ps 恋に落ちるほど最高 後編

公開 : 2022.02.05 08:26  更新 : 2022.11.30 13:30

V6ツインターボのMRに、見事な操縦性と快適性を両立させた、新時代のマセラティ・コルセ。英国編集部が評価しました。

長距離も乗りたいと思えるスーパーカー

最新のマセラティMC20には、ライバルが意外と多い。アウディR8ロータスエミーラランボルギーニウラカンマクラーレンアルトゥーラ、フェラーリF8 トリブートに296 GTBまで、ミドシップ・スーパーカーの選択肢は幅広い。

MC20の英国価格は、オプション抜きで19万275ポンド(約2949万円)から。価格帯としても、概ね上記のライバルに合致する。

予習はこのくらいにして、実際の運転へ進もう。MC20の特長といえるのが、GTモードでの質感。長距離でも乗りたいと思えるスーパーカーだ。

エンジンは3.0L V6ツインターボで、スムーズに吹け上がりパワーを潤沢に生み出す。630psを発揮するが、程よくノイズが抑えられている。8速デュアルクラッチATも、円滑にシフトアップしていく。シフトダウンは、時々躊躇する場面があるようだが。

いうまでもなく相当に速く、現実的な道路で必要とする以上。ギア比は全体的に高めで、80km/h以上の速度域へ突入しない限り、6速より上にはシフトアップできない。

スーパーカーに不足ないパワートレインだと思う。それでいて、市街地を彷徨くようなシーンも受け入れてくれる。

グランドツアラーとも呼べなくはない。エンジンルームの後ろに深い荷室があり、熱が少し伝わるものの、コルベットロータス・エリーゼと同等くらいの容量はあるだろう。

フロント側にも、小容量ながら荷物を載せられる。ミドシップ・スーパーカーの基準でいえば、かなり実用的といっていい。

サスペンションもステアリングも素晴らしい

見た目以上に乗り心地は快適。MC20の一般道での振る舞いは、本当に気に入った。英国の一貫しない舗装状態でも、ダンパーをソフトにした状態のGTモードなら概ねやり過ごせる。

今回の試乗は、肌寒い1月の英国。20インチのアルミホイールには、スタッドレスタイヤが巻かれていた。ちなみにサイズは、フロントが245/35で、リアが305/30だ。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

MC20のサスペンションは、路面と呼吸を合わせるように、しなやかに不整をいなす。ゴツゴツとした振動が伝わることもない。ベストと呼びたくなるほど落ち着きがあり、細かな入力も流暢に処理していた。

快適でありながら、進路変更にも常に構えた状態にある。コーナリングでは、大きな一体感を伴って、豊かな喜びを感じさせてくれた。

ただし、柔らかい冬タイヤなだけに、ステアリングの精度などは本来より落ちていたはず。もし夏タイヤなら乗り心地がタイトになり、操舵感も鋭さを増し、より積極的に運転したいと思えるだろう。

ステアリングは軽めでクイック。ロックトゥロックは2.2回転で、フェラーリほど敏感というわけではなく、マクラーレンのように感触が豊かというわけでもない。

それでも、マセラティのチューニングは素晴らしい。例えるなら、最新のアルファ・ロメオジュリアGTAmにも似た印象を受けた。惹き込まれる魅力がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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