ランドローバー・ディスカバリーSE D300試乗 控え目、でも「優秀な道具」

公開 : 2022.02.15 05:45

ランドローバー・ディスカバリーSE D300に試乗。控え目でも英国的で優秀な道具としての満足感があります。

賢者が選ぶランドローバー

自らが切り開いたSUVの時代がやってきているのだから当たり前なのかもしれないが、ランドローバーが賑やかだ。

5代目となる新型レンジローバーのデビューがアナウンスされ、2020年に生まれ変わったブランドの礎ともいうべきディフェンダーの販売も絶好調。

ランドローバー・ディスカバリーSE D300
ランドローバー・ディスカバリーSE D300    宮澤佳久

イヴォークのように斬新な手段でマーケットに訴えかけた実績もある。

そんなアピールが強い花形選手の陰でランドローバーの屋台骨を支えているモデルがいる。ディスカバリーである。

1989年にデビューした1~2代目は「エンジンやシャシーをはじめ多くのコンポーネンツがレンジローバーと一緒」という触れ込みと、298万円という大胆な値付け、そして7人乗りも選べるという点で話題を集めた。

3~4代目は独自の車体構造と角ばったボディで独自性をアピールした。

だがフリーランダーやイヴォークといった弟分の誕生もあり、この世代からは控えめな印象も定着している。

現行モデルのディスカバリーは5世代目。

そのスタイリングは昨今のランドローバーデザインの流れを汲んだスタイリッシュなもの。

しかしディスカバリーのDNAである3列目シートと左右非対称のリアエンドのデザインはしっかりと受け継がれている。

ディスカバリーは本国で一般の英国人に愛されているスタンダード。

日本におけるポジショニングは 全世代共通で「賢者が選ぶランドローバー」といったところだろうか。

6Lの自然吸気ガソリン的?

ディスカバリーの2022年モデルを試乗した。

最新の話題は2017年のデビュー以来初のマイナーチェンジが施されたという点である

ランドローバー・ディスカバリーSE D300
ランドローバー・ディスカバリーSE D300    宮澤佳久

サスペンションやステアリング系、インフォテインメント、外観など全体的に手が入れられているというが、中でも最大の変更はエンジンのラインナップが刷新されたことだ。

直4ディーゼルとV6スーパーチャージドだったものが、ディーゼルとガソリンとも直6マイルドハイブリッド(MHEV)に置き換わったのだ。

今回の試乗車はD300の車名からもわかるとおり300psを発揮するディーゼルだ。

走りはじめて最初に感じるのはパワーユニットの質感だ。

D300ユニットの素晴らしさはディフェンダー110の最上級モデルやレンジローバー・スポーツに搭載されており既に体験済み。

だが今回もあらためて感心させられることになった。

車内にいればディーゼルと気づかないほどノイズが少なく、可変ジオメトリーのターボチャージャーによりターボラグもほとんど感じられない。

わずか1500rpmで発揮される最大トルク(66.3kg-m)は、2.6t近い車重を見事に相殺しているのだ。

低い回転から最大トルクを発揮するディーゼルと発進や中間加速の瞬間をアシストするMHEVでは得意分野がカブっているような気もする。

だがD300ではお互いを補完し、まるで「6Lの自然吸気ガソリン」的な質感を作り出しているのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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