純EV市場へ本気の第1弾 新型トヨタbZ4X 四輪駆動のプロトタイプへ試乗 前編

公開 : 2022.02.26 08:25  更新 : 2022.04.15 07:32

レクサスを除き、トヨタ初となる量産純EVの開発は大詰め。まったく新しいSUVの試作車へ英国編集部が試乗しました。

RAV4と同等サイズのクロスオーバーEV

分散投資。複数の投資先へ資産を振り分けることで、リスクを減らしつつ、リターンを増やすという考え方だ。ただし、必ずしもその投資が成功するわけではない。ここ2年間で、純EVへ注力したテスラは企業価値を大幅に高めた。

トヨタは過去数十年という長期スパンで、ハイブリッドと燃料電池という技術分野へ投資を続けてきた。バッテリーEVの開発にも取り組んではいたが、どちらかといえば控え目な規模だったといえる。

トヨタbZ4X AWDプロトタイプ
トヨタbZ4X AWDプロトタイプ

やや保守的に、純EVの開発戦略を進めてきたトヨタ。その結果、今後しばらくはライバルを追い上げるべく、積極的な戦略を取る必要が出てきたようだ。

2021年12月、トヨタ自動車のCEO、豊田章男氏は今後4兆円規模の投資を行い、30車種の純EVの開発を進めると発表した。また増大する需要に応じて、2030年までに350万台の純EVを販売する計画を立てたという。

そして、その第1弾になるであろうモデルが、今回試乗を許されたクロスオーバーのトヨタbZ4Xとなる。まだプロトタイプではあったが。

見慣れない車名だが、bZはビヨンド・ゼロの略。ゼロ・エミッションを超えた価値を意味し、今後のトヨタの純EV数車種へ与えられるシリーズ名でもある。4Xは、コンパクトSUVを示す。同等のサイズを持つ、トヨタRAV4から展開した2文字だそうだ。

航続距離はFWDで450km、AWDで410km以上

bZ4Xは、スタイリングでもRAV4とイメージを共有する。ブラックの樹脂製ホイールアーチやツートーンのルーフだけでなく、シルエット自体も遠くない。

反面、バンパー下部のエアインテークや、センサーを内蔵したグロスブラックのグリルなどで差別化も図られている。今後のbZモデルシリーズで共通するという、シャープなヘッドライトが凛々しい。

基礎骨格をなすのは、まったく新しいe-TNGAという純EV専用アーキテクチャ。スバルと共同開発されたもので、スバル・ソルテラも採用している。

トヨタによれば、プラットフォームを延長することで車内空間にゆとりをもたせ、リアシートの足元空間は約900mmと、レクサスLSに迫る広さがあるとしている。キアEV 6やフォルクスワーゲンID.4といった競合に対抗するために。

パワートレインは、発売時点で2種類が提供されるようだ。エントリーグレードが、シングルモーターの前輪駆動。最高出力204psと最大トルク26.9kg-mを発揮し、0-100km/h加速を7.7秒でこなす。

もう1つがツインモーターの四輪駆動。最高出力218ps、最大トルク34.2kg-mに増強され、0-100km/h加速時間は6.9秒へ短縮される。

駆動用バッテリーの容量は、共通して71.4kWh。航続距離は暫定値だが、前輪駆動で450km以上、四輪駆動で410km以上が見込まれている。また、低い気温でもバッテリーの温度を一定に保ち、性能低下を抑えるヒートポンプが搭載される。

現在の純EVとして、充分な動力性能や航続距離ではあるが、際立つ数字でもない。キアEV 6やテスラ・モデルYは、どちらも480km以上の航続距離を実現している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニール・ウィン

    Neil Winn

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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