純EV市場へ本気の第1弾 新型トヨタbZ4X 四輪駆動のプロトタイプへ試乗 後編

公開 : 2022.02.26 08:26  更新 : 2022.04.15 07:32

レクサスを除き、トヨタ初となる量産純EVの開発は大詰め。まったく新しいSUVの試作車へ英国編集部が試乗しました。

巧みにグリップ力を制御する四輪駆動

今回試乗したのは、トヨタ最新のクロスオーバー純EV、bZ4X。開発途中のプロトタイプということで、ボディは入念にカモフラージュされていた。具体的なグレードなども明らかではなかった。

それでも現代の純EVとして、量産へ移れる状態にかなり近いように感じた。一部の機能が未実装だったことと、サイドミラーやパノラミック・サンルーフ付近から、風切り音が出ていたことを除いて。

トヨタbZ4X AWDプロトタイプ
トヨタbZ4X AWDプロトタイプ

オフロードシステムも味見が許された。bZ4Xは都市部での走行が前提のクロスオーバーながら、プラットフォームを共同開発したスバルの四輪駆動システム、Xモードのトヨタ仕様が搭載されるという。

渡河水深は500mmもあり、ジープレネゲード・トレイルホークに匹敵する。意外にも、悪路への本気度は高い。

過酷に見えるオフロードコースへbZ4Xで挑むと、四輪駆動システムが巧みにグリップ力を制御することに感心させられた。タイヤ毎にスリップを感知し、前後の駆動用モーターが必要なタイヤへパワーを適切に伝達してくれていた。

最低地上高はそこまで高くないため、原野に分け入ることは難しいかもしれない。それでも、近年の不安定な気象状態を考えれば、心強いことは間違いないだろう。

次世代のトヨタへ期待通りのインテリア

インテリアの仕上がりも印象的。次世代のトヨタへ期待する通りといって良い。素材の質感は少し冴えないとしても、充分な高級感があり、組み立て品質も高いようだ。フロントガラスの付け根部分が低く、開放的な印象もある。

気になった点といえば、メーターパネルがやや高めで、ステアリングホイールが低めになるドライビングポジション。プジョーのiコクピットを想起させるものだった。

トヨタbZ4X AWDプロトタイプ
トヨタbZ4X AWDプロトタイプ

円形のステアリングホイールでは、上部のリムがメーターに掛かってしまう。もしかすると、ヨーク型ステアリングホイールを前提にデザインされているのかもしれない。

当然のように、ダッシュボード中央には12.0インチのワイドなタッチモニターが据えられる。エアコン操作用に、適切なボタン類が用意されていることは朗報だろう。

ワイヤレスでのアンドロイド・オートとアップル・カープレイに対応し、航続距離や充電ステーションの位置など、純EVならではの情報も得られるという。試乗車はプロトタイプということで、そのサービスは実装されていなかったが。

少なくとも、モニターの表示は高精細。操作への反応も良かったとは、お伝えできる。

リアシートは、長いホイールベースを活かし、リムジンのように前後長がある。身長の高い大人でも、ゆったりくつろげるだろう。フロアがフラットだから、中央に座っても足の置き場には困らない。

荷室空間は狭め。通常で452Lという容量は、キアEV 6の490Lなどと比べて小さい。テスラモデルYのように、フロントのボンネットを開くと別の荷室があるわけでもない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニール・ウィン

    Neil Winn

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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