課題はヒョンデとの差別化 ジェネシスGV60 プロトタイプへ試乗 銘柄初の純EV

公開 : 2022.04.22 08:25

ヒョンデの上級ブランド、ジェネシス初の純EVが間もなく登場。グループ内での差別化が課題だと、英国編集部は評価します。

アイオニック5と同じプラットフォーム

韓国ヒョンデの上級ブランド、ジェネシスが英国にやってきて1年ほど。まだ新鮮さが消えないところだが、新モデルの投入で勢いを増すようだ。

GV60というモデル名からはわからないものの、ジェネシスとしては初めての、純EVの販売がもうすぐ始まる。純EV専門ブランドへのシフトを見据えた第一弾でもあり、ドイツ御三家に代わる第4の選択肢になることを目指す一歩でもある。

ジェネシスGV60 スポーツ・プラス・プロトタイプ
ジェネシスGV60 スポーツ・プラス・プロトタイプ

今のところ、内燃エンジンを搭載したジェネシスは、そこまでの訴求力を備えていなかった。しかし純EVのGV60は、形勢を変える素質を備えているようだ。

このGV60がベースとするのは、ヒョンデ・グループが開発したE-GMPプラットフォーム。純EVに特化した設計で、ヒョンデ・アイオニック5やキアEV6など、既に評価の高いモデルも採用している。いわば、それらと親戚関係にある。

駆動用バッテリーが平らに敷かれたスケートボード構造で、車内のフロアはフラット。電圧800Vの高性能なシステムで稼働し、電費効率にも優れる。最大350kWという、急速充電能力もしっかり受け継いでいる。

さらに、ジェネシスとして求められるものといえば、プレミアムな体験。どうやら、このプラットフォームから引き出すことは、難しくなさそうだ。

ブーストボタンを押せば489psに

今回試乗したGV60は、あくまでも量産化前のプロトタイプだった。前後にもしっかり、プリプロダクションと明記されている。

サスペンションのチューニングは、韓国仕様と北米仕様とのミックス。ソフトウェアも、まだ完全には書き終えていないという。

ジェネシスGV60 スポーツ・プラス・プロトタイプ
ジェネシスGV60 スポーツ・プラス・プロトタイプ

パワートレインは、218psの駆動用モーターが2基搭載された四輪駆動。システム合計で435psを発揮し、充分スポーティな最高出力だが、ブーストボタンを押すと短時間だけ489psへパワーアップできる。

そのブーストが効いた状態では、0-100km/h加速を4.0秒でこなす。E-GMPプラットフォームを採用したモデルとしては、これまでで最も強力でもある。それを受けてか、英国価格は6万5405ポンド(約1046万円)と強気だ。

GV60のスタイリングは、これまでのジェネシスと比較すると若干個性が抑え気味。滑らかなフォルムで、柔らかく優しさを感じるが、主張もある。試乗車のサンパウロ・ライムというボディカラーをまとうと、かなり存在感は強い。

アイオニック5と同じく、GV60もボディサイズが写真からは掴みにくい。角のないシルエットからコンパクトなモデルを想像しそうだが、実際にはアウディQ4 eトロンに近い。全長は4515mmある。ちなみにアイオニック5は、4635mmだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ジェネシスの人気画像